SOMPOケア、「SOMPOケアリアルデータ経営」の始動
SOMPOケアは、介護サービス利用者の自立支援やQOL向上、社員の業務負荷軽減ならびに介護現場の生産性向上等を目的として、「SOMPOケアリアルデータ経営」を始動する。SOMPOホールディングスとパラマウントベッドホールディングス株式会社(以下、「パラマウントベッド」)の業務提携に基づき集約されるリアルデータをはじめ、事業活動に伴うあらゆる情報をデータ化し一気通貫で管理するプラットフォームを構築していく(※1)。同社は、本構想に基づき、社員の経験や直感に頼らず、確かなエビデンスに基づいた「科学的介護」を実践していく。今回はその全体像を発表する。
※1 2020年5月14日付SOMPOホールディングスとパラマウントベッドの共同リリース「リアルデータ活用による健康で豊かな生活の実現に向けた業務提携」を参照
1.背景
同社は現在、介護の総合ブランドとして在宅から施設まで幅広い介護サービスを、約8万人の利用者に提供しており、介護現場では日々、ケアプラン、アセスメント記録、介護サービスの実施記録、食事摂取量、社員の勤怠などさまざまな情報が生み出されている。従来は、これらが紙の記録であったり、データ化されていてもシステム間の連携が不十分であったりすることが原因で、有効活用されていたとはいえず、介護現場では経験や直感に基づく介護が行われ、社員の経験年数等によって提供される介護サービスの品質にばらつきが生じる、社員の業務負荷が軽減されない等が積年の課題となっていました。
このような課題を解消するために、同社は2019年4月にデータ戦略部を新設し、介護サービスはもちろん、その記録や、活用するデジタル機器からの収集情報、会計処理や契約情報までを一気通貫で管理し、効果的に分析・活用していく体制の構築をすすめてきた。
2.「SOMPOケアリアルデータ経営」の概要
「SOMPOケアリアルデータ経営」の基本となるデータプラットフォームは、利用者の状態を示すアセスメントデータや、パラマウントベッドの眠りSCAN(※2)から取得されるデータをはじめ、日々生成される介護リアルデータで構成されます。これにより、国内随一の大量・良質なリアルデータが集約されたプラットフォーム構築を目指していく。
※2 パラマウントベッドが開発した、ベッドマットレスの下に設置する体動センサー。入居者の体動(寝返り、呼吸、脈拍など)を検出し、介護・医療施設等における入居者の睡眠・覚醒・起き上がり・離床などを端末にリアルタイムで表示する。
「SOMPOケアリアルデータ経営」においては、利用者に提供するサービス品質の向上、現場社員の業務負荷軽減等を目的に、次の4項目の実現を目指す。
(1)科学的根拠に基づいた介護サービスの確立
ビッグデータから示唆される、利用者の生活状態に関する予兆を可視化し、その可視化された情報に基づいて、最適な介護計画や要介護度の維持・悪化防止につながる支援を実施する。また、リアルデータを活用して介護職員、看護職員を支援し、利用者のQOL(生活の質)向上につなげていく。
(2)介護サービス品質の可視化とそれに基づく品質向上
(1)で得られた成果を可視化・数値化し、それを同社の介護品質として確立するとともに、さらなる向上につながる仕組みを構築する。
(3)最新のデジタル技術を活用した現場社員の業務負荷の軽減
現在、手書きや記録入力している各種書類、データを、IOTデバイス等の導入により自動化していく。また、(1)(2)で可視化された情報をもとに、業務改善の意思決定をよりスピーディに、正確に実行できるようにしていく。
(4)認知症ケアに関するデータを収集・分析
認知症ケアに関するデータを収集・分析し、認知症ケア・予防に資する取組みにつなげていく。
さまざまなデータを一気通貫で管理し分析・活用することで、各事業所の運営力やリスクマネジメント力などを含む介護サービスの品質を見える化し、管理することが可能になる。また、新たに導入するシステム間の連動を図り、介護現場で大きな負担となっている、事務作業効率化を促進する。加えて、利用者に対してどのようなケアプランで、どのような介助を行い、どのような食事を提供し、そしてその結果、要介護度や認知症状等はどのように変化したのか等、様々な観点から体調変化や事故等の予兆把握が可能となり、事前に対策を講じることが可能になる。
3.今後について
同社は、SOMPOケアリアルデータ経営の推進を通じて高齢者のQOL向上に資する、より安心・安全で持続可能な介護サービスを実現していくとともに、SOMPOグループに介護に関わる大量かつ良質なリアルデータを提供することで、お客さまに対し、エビデンスに基づく新たな価値を提供することに貢献していく。