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三井住友海上、照会応答機能の高度化に向けた業務特化型LLMを開発

三井住友海上と日本電気株式会社(以下「NEC」) は、照会応答機能
の高度化に向けた業務特化型LLM※1を開発し、22日より、三井住友海上の全社員が利用する社内向け 生成AI基盤「MS-Assistant」※2にて運用を開始した。
両社は、生成AIの活用を通じて、業務プロセスの革新とさらなる業務効率化を進めるとともに、さまざまなステークホルダーへの新たな価値提供に取り組んでいく。
※1:Large Language Modelsの略。膨大なテキストデータと高度なディープラーニング技術を用いて構築された、自然 言語処理と呼ばれる分野における革新的な技術。
※2:生成AIチャットツール「MS-Assistant」の全社員活用を開始(2023年7月14日ニュースリリース)
1.背景
三井住友海上は2023年10月より、損害保険の商品規定や事務手続ルール等の照会に自動で回答する照会応答機能を「MS-Assistant」に追加した。本機能のさらなる精度向上に向け、NEC開発の生成AI「cotomi」※3をベースに、業務特化型LLMを同社と共同開発した。本LLMと「Azure OpenAI Service」※4の照会支援機能を組み合わせることで、「MS-Assistant」の照会回答の精度向上が 確認できたことから、全社展開に至った。
※3:NECが開発した生成AI(https://jpn.nec.com/LLM/index.html)
※4:「 Microsoft Azure」は、米国 Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標である。
また、その他記載の会社名、製品名は、各社の登録商標または商標である。
2.取組概要
三井住友海上とNECは、業務効率化に資する照会応答支援機能の回答精度向上に向けた技術検証を継続的に進めており、その成果論文※5は、2024年の国際学会ICAIF※6で採択されるなど、高く評価されている。今般開発した本LLMは、約1.2万人の三井住友海上社員によるフィードバックを 分析・学習し、ドキュメント検索等に活用できる仕組みを実装した。これにより、システム利用者(社員)自らがAIを育て、実効性の高いAIと協働することで業務効率化を図る。さらに、生成 AI特有のリスクであるハルシネーション※7を考慮し、適切な利用に向けたルールを全社員に周知・ 徹底している。
※5:A Case Study on Enhancing Inquiry Response in a Non-Life Insurance Company Using Generative AI.
※6:ACM International Conference on AI in Finance
※7:AIが事実と異なるもっともらしい情報を回答する現象。
3.今後の展開
三井住友海上とNECは、照会業務の効率化とお客さま対応品質の向上に向けて、保険約款やFAQ等のデータを追加し、機能拡充を進める。さらに、保険代理店システムへの生成AI活用を検討し、保険 業界に特化したLLMの導入を進めることで、保険代理店の業務効率化とお客さまへの提供価値の変革を目指していく。

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