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アニコムホールディングス、ペットの動画から感情を判定するAIシステム、日本に続きアメリカでも特許を取得

アニコムホールディングスは、AIを用いてペットの動画から感情を判定するシステム(以下本システム)とその感情判定方法について、日本での登録(特許第7330258号)に続き、アメリカでの特許を現地時間の2025年9月16日付で取得した(USPatent第12,417,655号)。
「わが子の気持ちを、もっと理解したい」。これは、世界中の飼い主の皆さまに共通する願いである。今回同社がアメリカで本特許を取得したことは、ペットとのより深いコミュニケーションを、日本のみならず世界中で実現していく第一歩だと考えている。なお同社グループにおいて、日本国外での特許取得は初めてとなる。
【参考】2024年5月14日付同社ニュースリリース
『AIを用いて「ペットの動画から感情を判定する」システムの特許を取得』
https://www.anicom.co.jp/news-release/2024/20240514/
■本システムの感情判定方法
ペットは人間の言葉を話さないが、行動によって感情を表現する。これを正確に読み取れれば、飼い主さまとのより円滑で深いコミュニケーションを取れるようになることが期待される。
本システムは、ペットが撮影された動画の中から、AIがペットの行動を検出し、その行動をもとにペットの感情を判定する。例えば犬では「しっぽを振る」「あくびをする」「うなる」、猫では「瞳孔が丸くなる」「耳を前へ向ける」といった行動をAIが検出し、その行動と「嬉しい」「甘える」「警戒」「怒り」などの感情を対応付けることで、感情の判定を行う。
また本システムでは、ペットの種類(犬や猫、鳥など)や品種(トイ・プードルやチワワ、柴犬など)もAIが判定する。ペットの種類や品種ごとに異なる行動と感情の対応関係を考慮することで、より正確に感情を判定することが可能である。
例えば本システムを用いてアメリカン・ショートヘアーの動画から感情を判定したところ、動画中に「しっぽを上げる」という行動が検出され、その行動をもとに「嬉しい」「甘える」という感情が判定された。
■どうぶつと真に話せる世界の実現に向けて
これまで医療の世界では、血液検査など数値化しやすい検査においてはあらゆる部分で機械化が進んできた。一方で、もっとも人の命を左右する手術は、術者の手技に大きく依存し、標準化や汎化が進んでいない現状がある。症例はひとつとして同じものはなく、術者は自らの手技を守ろうとする。さらに人医療では法制度やプライバシーの制約もあり、技術を汎化することが難しいという大きな壁があった。
また、どうぶつ医療においても課題が存在する。犬や猫は長い歴史の中で近親交配を繰り返すことで、飼い主に懐き「世界一かわいい」という特性を手に入れた。その一方で、免疫や神経といった“ソフトウェア”が脆弱になっている。心臓や腎臓といった臓器(=“ハードウェア”)は数値化や診断が比較的容易であるのに対し、免疫や神経は目に見えず、確率的に異常が起こるため、これまで定量的に扱うことが困難だった。
これらの課題に対し、同社グループでは、25年間積み重ねてきた保険のビッグデータの統計分析によって、免疫や神経の可視化に挑んできた。そしてこれからは、AIの力で「免疫の見える化」「手術の数値評価」「手技の汎化」に挑戦し、高度医療=高額医療というこれまでの常識を変え、保険と医療の共進化を通じた新たな価値を提供していく。
作家のベンジャミン・ホフは、著書『TheTaoofPooh(1982)』のなかで、「多くの人は動物に話しかけるけれど、耳を傾ける人は少ない―それが問題だ。」と記している。どうぶつたちは人の言葉を持たないが、確かに“声なき声”を私たちに伝えようとしている。
理解できなかった彼らの言葉を、AIを通じて聴けるようにする――今回の感情判定システムは、そのための第一歩である。どうぶつと暮らしていく上で、そしてどうぶつ医療において最も重要なことの一つは、この“声なき声”に耳を傾けることである。同社グループはAIの力をもって、その声を世界中の飼い主さまに届けていく。

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