アニコム損保、アニコム先進医療研究所と手術支援ロボットのリバーフィールド、 獣医療および人類のさらなる進化に向けた共同研究開発契約を締結
アニコム損保およびアニコム先進医療研究所株式会社(以下 アニコム先進医療研究所)は、リバーフィールド株式会社(本以下 リバーフィールド)と、医療ロボットの設計および製造、またこれらの過程で生じるAIを用いた知的財産の創出等を目的とした共同研究開発契約を、2月6日付で締結した。
アニコム損保では、ペット業界のインフラカンパニーとして、ペット保険の提供を通じて日本の獣医療を支えてきた。またアニコム先進医療研究所では、予防医療から二次診療までを含む全国58ヶ所のグループ動物病院を運営するとともに、再生医療を中心とした高度獣医療の普及によって「治らない病気を治す」ための取り組みを進めてきた。
一方リバーフィールドは、2003年より旧東京工業大学と旧東京医科歯科大学(ともに現東京科学大学)を中心とした研究室でのロボット開発研究を通じて、2014年に起業した国立大学発ベンチャー企業である。世界で初めて、「力覚」を再現することに成功したヒト用低侵襲外科手術用支援ロボット『Saroa(サロア)*1』を開発し、薬事承認を取得している。
*1 Saroa(サロア): 空気圧超精密制御技術を活かした世界初の空気圧駆動型手術支援ロボット。空気圧駆動技術により、手術に使用する鉗子にかかる力を検出し、執刀医に触覚(力覚)のフィードバックが可能。力覚を有することにより、自分の手で直接手術しているような感覚が得られ、手術の精度の高度化が期待される。
○保険業の健全性を阻害する要因のひとつである獣医療費の高騰等への対応として
(1)一般に、医療保険の健全性を阻害する最大の要因のひとつとして、「医療費の高騰や、リスク濃縮*2」が挙げられるが、これはペット保険においても例外ではない
*2 リスク濃縮とは、契約者が自身やペットの健康状態を保険会社よりも詳細に把握していることから、疾患リスクを強く認識している契約者ほど選択的に保険に加入しやすく、結果として全体のリスクが偏る現象を指す(いわゆる逆選択)。
(特にペットの場合、虚弱な個体ほど医療費負担を考慮して保険に加入・継続する傾向があるため、リスク濃縮が生じやすい点に注意が必要である。このようなリスク濃縮の影響を抑えるためには、健康状態に応じたより公平な保険料設計や、健康管理を促進するインセンティブ制度の導入が重要となる。)
(2)これらの課題に対し、以下の取り組みが重要であると考える
①医療費高騰の主な要因となる「高度な手術等」の技術開発への参画
手術技術等の開発に積極的に関与し、手術の効率化・標準化を推進することで、不必要な医療費の増加を抑制する。これにより、医療費の過度な高騰を防ぐことに貢献する。
②疾患の「発症・進行・悪化」を予防するアプローチの推進
疾患の発症原因である「免疫の低下」や「疾患の真の原因」を解明し、疾患自体の発症・進行・悪化を予防する取り組みを強化する。
(3)免疫の一部の可視化(数値化)や、高額手術に繋がりやすい弁膜症等の予防や早期発見を促進する取り組みについて
①免疫の一部の可視化(数値化)に成功
②ペット保険における最大の保険金支払い疾患である弁膜症との関連性も明らかとなった
獣医療においては、犬種ごとの遺伝的差異や体格差が大きく、AIを活用した個別最適化の余地が十分にある。そのため、遺伝子や食事等の生活習慣、腸内細菌叢等を含むビッグデータを活用し、広範な個体差に対応する技術の開発に取り組んでいく。さらに、各ペットに適した予防行動や治療計画の策定をサポートすることで、獣医療の発展と保険事業の健全性向上に貢献していく。