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あいおいニッセイ同和損保、洪水予測データの利活用等に関する共同研究における長野県をフィールドとした予測データ活用型流域治水の実現に向けた検証を開始

あいおいニッセイ同和損保、国立大学法人東京大学生産技術研究所(以下、東京大学)、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学大学院工学研究科(以下、名古屋大学)、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、平時の治水対策と有事の水害対策を統合した流域治水の実現を目指し、洪水予測データの利活用や、長野県が保有する水位等のデータを利活用した洪水予測の精度向上等についての共同研究を2021年10月より実施している。
本共同研究成果の第一弾として東京大学およびJAXAの共同研究グループが開発・運用するToday’sEarth-Japan※1(以下、TE-J)の最大30時間以上先までの洪水予測データを、あいおいニッセイ同和損保が公開しているリアルタイム被害予測ウェブサイト「cmap※2」に追加した「長野県庁職員向け cmap」を構築した。長野県庁職員向けcmapは、2022年1月より長野県庁での検証を開始する。
※1 全世界の河川流量等を予測するシミュレーションシステムで、日本では気象業務法に沿って、JAXA-東京大学の利用実証に共同研究者として参加している地方自治体等にのみ予測情報を提供
※2 風水災・地震での建物被害予測を無償公開しているほか、TE-Jのリアルタイム浸水危険度推定情報を表示
1.背景
気候変動により頻発化・激甚化する洪水被害は、世界的に対策が望まれる重大な災害の一つである。我が国では、気候変動適応計画の中で、国、都道府県、市区町村、企業、住民など、あらゆる関係者が協働して流域全体で水害を軽減させる治水対策「流域治水」を推進し、ハード・ソフトが一体となった防災・減災対策を進めることが重要であることが示されている。
今般、これらの課題を解決することを目的に、東京大学、名古屋大学、JAXA、あいおいニッセイ同和損保、長野県は、「地表面水文量予測情報※3を利用した流域治水の先進的な実践※4」(以下、予測データ活用型流域治水)をテーマとして、洪水予測データを表示する「長野県庁職員向け cmap」の提供と、予測情報の社会実装による効果、洪水予測の精度向上・高度化等について共同研究を行うことになった。
※3 河川水位の危険度を推定し、最大30時間以上先までの洪水予測を約1km格子で可視化
※4 JST未来社会創造事業「顕在化する社会課題の解決」領域の公募で採択
2.「予測データ活用型流域治水」の概要
予測データ活用型流域治水とは、各種の流域治水対策に洪水予測を取り入れてリードタイム(時間的猶予)を創出し、平時と緊急時における行動計画に反映させ、QoL(quality of life 生活の質)の向上を目指すものであり、長野県DX※5戦略に基づく取り組みの一環と位置付けている。その実現には、長野県内各地の観測データをリアルタイムで取り込み洪水予測を再計算するなどの取り組みも検討している。
洪水予測データの利活用により、例えば迅速な避難・防災行動などにおいて、当事者の心理的負担を減らすことが期待される。また、利水ダムやため池の有効活用など、防災と他分野とのシナジー効果を加味し、新たなデータ利活用のあり方を追求していく。
※5 デジタルトランスフォーメーションの略語でデータやデジタル技術を活用し、価値提供を変革させること
3.「予測データ活用型流域治水」の実現に向けた共同研究について
(1)共同研究内容
・洪水予測データを表示する「長野県庁職員向け cmap」※6の提供(2022年1月より実施)
※6 「長野県庁職員向け cmap」は洪水予測データを含むため、利用者は県庁職員に限定
・QoL評価モデルを活用した定量評価(2022年2月より実施予定)
・洪水予測データの精度向上・高度化
(2)共同研究における各法人の役割
・東京大学:高精度な地表面水文量予測情報の創出、将来の洪水リスク変化予測等
・名古屋大学:洪水予測の利活用による直接的・間接的効果を定量的に評価、具体化
・JAXA:TE※7、TE-Jの開発・運用、衛星観測データの解析・利活用
・あいおいニッセイ同和損保:気象・リスク情報のプラットフォームとして長野県庁職員向けcmapの開発・提供
・長野県:予測データ活用型流域治水の具体化に向け、洪水予測の有効的な利活用方法の検証、および県等が保有する各種観測データの東京大学への提供
※7 TEはシステム全体の名称。TEの全球版をTE-G(Global)、日本域に限定して解像度を上げたものがTE-J(3)共同研究によって目指す姿
本研究では、地表面水文量に関する予測という自然科学の手法と、避難行動分析やQoL分析といった社会科学の手法を組み合わせることで、より適切で効果的な避難活動・避難所における密回避・事前防災、被害対象を予め減少させるための「住まい方」の改善、被災地域の早期特定による復旧効率化、氾濫を減らすための社会基盤整備およびその効果的運用等、流域治水の概念で考慮される全ての点に資することを目指す。
4.今後の展開
気候変動により激甚化する洪水に対し、日本における既存の社会基盤施設の災害防護レベルでは防げなくなってきていることが社会課題として顕在化している。堤防やダムの建設をメインとしたハード対策に合わせて、予測の部分の精度を高めたソフト対策が強く求められる中、予測情報を活かした新たな流域治水システムをさらに活用し、様々な先進的なソフト対策に挑戦することで、被害の軽減を目指す。
また、今回の取り組みを踏まえ、日本全国にTE-Jを活用した流域治水パッケージを展開するとともに、海外の連携先とも国際協力研究を進めていく予定である。
なお、本共同研究は、JST未来社会創造事業「顕在化する社会課題の解決」領域の支援を受けている。

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