新日本保険新聞社・シンニチ保険WEB

損保ジャパン、間断かんがい技術(AWD)を活用したJCMクレジットの普及拡大を目指すコンソーシアムを組成

損保ジャパンは、大阪ガス株式会社、出光興産株式会社、兼松株式会社、GreenCarbon株式会社、東邦ガス株式会社、芙蓉総合リース株式会社および三菱UFJ信託銀行株式会社とともに、「水田JCMコンソーシアム」(以下「本コンソーシアム」)を組成した。二国間クレジット制度(以下「JCM」:Joint Crediting Mechanism)に基づく水田由来のクレジットの普及拡大を目指し民間企業が組成する日本初の取組みとなる。
本コンソーシアムは、各社がフィリピンで推進する間断かんがい技術(以下「AWD」:Alternate Wettingand Drying)を活用したプロジェクトによって、米の収量がどの程度増加するか、天候がAWD実施にどの程度影響を与えるかを分析し、パートナー国※1との農業分野におけるJCMの普及拡大に貢献することを目指す。
■背景
JCMとは、日本とパートナー国が協力して温室効果ガスの削減に取り組み、その成果を両国で分け合う制度である。日本政府は今年2月、JCMを活用した温室効果ガスの排出削減・吸収量を2030年度までに累計1億t-CO2程度、2040年度までに累計2億t-CO2程度確保する目標を閣議決定し、NDC※2の達成手段としても活用する予定である。
現在、農業分野でJCMクレジットの発行実績はなく、発行に向けた取組みが進められている。日本とフィリピンは、AWDがJCMクレジットの対象として両国間で正式に承認されており、フィリピンはパートナー国の中で、農業分野におけるJCMクレジット発行に向けた取組みが最も進展している国の一つである。
AWDとは、水稲の栽培期間中に一定期間、水田の水を抜き、土壌を乾燥させた後、再び水を張ることを繰り返す管理手法である。一般に水を張った水田はメタンが発生しやすいことから、水を抜く期間を設けることで、常時水を張った状態と比較してメタンの排出を減少させることができます。土壌の質によっては、メタンの排出を約30%削減するとともに、米の収量を向上させるという研究結果も報告されている。※3
一方で、AWDの実施は天候の影響を受けやすく、その関係については十分な分析がされていないという課題がある。
■本コンソーシアムの概要
本コンソーシアムは、AWDの各プロジェクトの情報を分析し、価値やリスクを発信することで、JCMに基づく水田由来のクレジットの普及拡大を目指すものであり、大阪ガスが構想し、参画企業と組成した。
米の収量の増加などプロジェクトによる複合的な価値を、パートナー国の政府関係者や農家の方々へJCMの実データを基に伝えることで、さらなるJCMへの関心と期待を持っていただけることを目指す。
加えて、雨量や台風とAWDの関係の分析を通じて、これまで不透明であった天候リスクを可視化し、プロジェクトに対する予見性を高めることで、投資の促進につなげるとともに、クレジットの需要家が安心して取引できる情報開示を目指す。
また、組成企業の8社に加え、今後、本コンソーシアムの目的に賛同する会員企業の拡大を検討していく他、オブザーバーとして環境省と農林水産省が参画する。
【環境省・農林水産省のコメント】
JCMにおいて、AWDは温室効果ガスの大幅な削減が期待できる技術分野であり、自然を活用した解決策(NbS:Nature-basedSolutions)の先行事例としても重要である。こうした分野において、民間企業が主体となり、企業同士がオープンに連携しながら共通課題の解決を図り、市場の形成・拡大を目指す取組みは、非常に意義深く、政府としても心強く感じる。
この取組みを通じて、パートナー国政府を含む関係ステークホルダーとのコミュニケーションを深め、AWD案件のJCM化に向けた課題への対応が進むことを期待するとともに、当初の 参画企業に限らず、今後新たに参加を希望する企業にも開かれた形でコンソーシアムが運営され、取組みの持続的な発展につながることを願っている。
政府による資金支援を伴わずに案件が形成される、いわゆる「民間JCM」は、民間企業が主役であり、環境省・農林水産省をはじめとする日本政府全体としても、こうした民間主導のJCM案件がより多く形成されるよう、積極的に後押ししていく。
損保ジャパンは、AWDと天候の関係分析に保険会社の知見を加味することで、JCMクレジットの普及に伴うリスク軽減に取り組み、本コンソーシアムに貢献することを目指す。JCMの普及拡大を推進することは、脱炭素社会の実現に寄与する。
損保ジャパンが属するSOMPOグループは、「SOMPO気候アクション」において、気候変動への「適応」「緩和」「社会のトランスフォーメーションへの貢献」を掲げており、本コンソーシアムでの取組みはこの方針に合致する内容となる。
※1 日本と二国間で協定を結び、温室効果ガス削減プロジェクトを共同で推進し、その削減効果をパリ協定に基づいて双方で活用する国を指す。
※2 パリ協定に基づいて各国が5年ごとに提出・更新する温室効果ガス削減目標のこと。日本では、2035年度、2040年度において、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指すことを2025年2月18日に閣議決定し、同日、国連に提出
※3 農林水産省「間断かんがい技術(AWD)による水田メタン削減について」(2025年6月)

関連記事(保険業界ニュース)

損保

損保ジャパン、「船舶サイバー保険」の販売を開始

損保

損保ジャパン、【業界初】自動車保険金請求の進捗状況をLINEでいつでも手軽に確認できる「SOMPOあんしん進捗ナビ」の提供開始

損保

損保ジャパン、茨城県筑西市と『SDGsの推進に係る包括連携協定』を締結

生保

第一生命、「都市の緑3表彰」の受賞者決定および2027年国際園芸博覧会に向けた特別企画を実施

損保

損保ジャパン、東京医科大学発スタートアップMEDEMILと業務提携

損保

SOMPOホールディングス、損保ジャパン、SOMPO美術館開館50周年記念事業を開催

生保

明治安田トラスト生命、「アセットオーナー・プリンシプル」の受入れを表明

生保

日本生命、大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」への参画を終えて

損保

損保ジャパン、次世代モビリティ領域のソリューション「SOMPO MobineX」を展開開始

損保

損保ジャパン、愛知東支店西三河支社が愛知県岡崎市「ウィズ認証」を取得