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損保協会、協会長ステートメントを発表

損保協会の城田宏明会長は6月12日、1年間の主な取組みの振り返りとして協会長ステートメント を発表した。
1.はじめに
昨年、会員会社において確認された情報漏えい事案について、会員会社4社に対し、本年3月24日に金融庁から保険業法第132条第1項に基づく業務改善命令が、また本年4月30日に個人情報保護委員会から個人情報保護法第147条に基づく指導が発せられた。当協会としても、かかる事態を大変重く受け止めている。お客さまをはじめ関係者の皆さまに多大なご迷惑とご心配をお掛けしていること、あらためて深くお詫び申し上げる。
当協会では、情報漏えい事案が確認されて以降、会員会社への実態調査や再発防止の徹底の要請、情報管理コンプライアンス・セミナーの実施、募集コンプライアンスガイド情報管理版の策定等、会員会社の再発防止策を支援するための取組みを進めてきた。また、当協会は個人情報保護委員会から認定を受けた認定個人情報保護団体であり、その立場からも必要な措置を講じている。
今後も会員会社の再発防止策の進捗状況を確認しながら、業界全体として情報の適切な取扱いの確保に努めていく。
2.当年度の取組み
会長に就任した1年前は、金融庁における「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」の報告書が公表された時期にあたる。その後、当協会もオブザーバーの立場で参加した金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」の報告書が公表され、本年5月30 日には、保険業法の一部を改正する法案が成立した。また、現在、監督指針改正案がパブリックコメントに付されているが、当協会からは、業界全体で顧客本位の業務運営の徹底や健全な競争環境の実現に向けて、会員各社の運用実態にばらつきが生じないよう、解釈の明確化などを目的とした意見を提出する。
この1年は制度面においても極めて重要な年となったが、当協会としては、終始一貫してお客さまと社会からの信頼回復を最優先に、「法令等遵守」「お客さま本位の業務運営」の徹底はもとより、健全な競争環境の整備や適切な保険引受管理態勢の確立などに全力で取り組んできた。
また、当協会の目的を果たしていく上では、自然災害の多発化・激甚化などといった業界を取り巻く外部環境の変化に対応していくことも不可欠である。こうした認識のもと、昨年4月から第10次中期基本計画をスタートさせており、当年度は「自然災害への対応力強化」「デジタル化推進による利便性向上」「損害保険リテラシーの向上」を重点テーマに各取組みを着実に推進することで、真に社会から必要とされる業界を目指してきた。
3.具体的な取組み
(1)信頼回復に向けた取組み
① 健全な競争環境の実現
ア.新たなガイドラインの策定
イ.共同保険の新たな組成方式の検討
② 保険代理店・募集人の業務品質の向上
ア.代理店業務品質評価基準と運用体制の検討
イ.募集人教育・試験制度の充実・高度化の検討
③ 企業向け保険の理解促進
④ 不正請求への対策強化
⑤ コンプライアンス・ガバナンスの更なる強化
⑥ 信頼回復に係る取組みのフォローアップ
<2025 年5月・フォローアップ対象>
・損害保険の保険金支払に関するガイドライン
・損害保険会社の独占禁止法遵守のための指針
・保険契約引受にかかる独占禁止法上の留意点
・損害保険会社からの出向者派遣に係るガイドライン
・政策保有株式に係るガイドライン
・業界共通の企業向けツール「リスクマネジメントと損害保険」
(2)第10次中期基本計画に関する取組み
① 自然災害への対応力強化
② デジタル化推進による利便性向上
③ 損害保険リテラシーの向上
4.おわりに
本当にお客さまから信頼される損害保険業界になるために、この1年間、会員会社とともに一つひとつの課題に真摯に向き合い、全力で取り組んできた。
旧来の業界慣行の抜本的な見直しをはじめとする諸課題の解決に向けて、新たなガイドラインの策定など様々な取組みを進めてきたが、これらの取組みの実効性を高め、会員各社の取組みが業界全体に浸透・定着していかなければ、業界の変革、そしてお客さまと社会からの信頼回復は実現できないと強く認識している。そのためには、会員各社が取組みの趣旨を正しく理解し、形骸化させずに実効性のある取組みとして定着を図るとともに、自浄作用を働かせていく態勢を構築していく必要がある。
こうした認識のもと、当協会としても、会員各社としても、引き続きお客さまと社会からの信頼回復を最優先課題として取り組んでいく運営方針について、本日開催の理事会においてあらためて確認した。
損害保険という相互扶助の精神からなる社会インフラ機能の提供を通じて、安心かつ安全で持続可能な社会の実現と、経済および国民生活の安定と向上に寄与していくことが、損害保険業界の使命である。こうした使命を果たし続けるためにも、常に社会インフラの一翼を担う者としての高い倫理観と誇りを持ちながら尽力していく所存である。

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