あいおいニッセイ同和損保、2年目を迎える早稲田大学法学部寄附講座「メタバースと法」開講
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あいおいニッセイ同和損保と早稲田大学法学部は、10月10日から2年連続で寄附講座「メタバースと法」を早稲田大学法学部に開講する。
本年度は、講義内容を発展させ、文理融合教育を導入するとともに、講師と受講者全員がVRゴーグル(HMD:ヘッド・マウント・ディスプレイ)を装着して没入感を味わいながら、メタバース・ワールドにおけるさまざまなニュー・リスクを体感することで、メタバースにおける法的課題を整理し、あるべき規制・ルールを考察する。
1.背景
インターネット上に作られた仮想空間であるメタバース・ワールドは、様々な分野への活用が期待されている一方で、アバターの法的地位やアバター間での迷惑行為など、依然として多数の法的課題が存在している。
早稲田大学法学部は、先端科学技術が社会に実装された際に生じる倫理的・法的・社会的な課題(ELSI:Ethical,Legal and Social Issues)に対して、リーガル・マインドをもって取り組むリーダーを育成すべく、2022年度に「先端科学技術と法コース」を開講した。
さらに、同コースの一環として、あいおいニッセイ同和損保と早稲田大学法学部は、双方の知見をもとにメタバースの法的課題を整理し、ELSIに対処できる法的素養を備えた人材を育成することを目的に、全国の大学の法学部系の授業科目の中で、メタバースに係る法的課題を取り扱う初めての本格的な授業科目として、2023年度秋学期に「メタバースと法」を開講した。
昨年度は、PCからメタバース・ワールドにアクセスし、メタバースに対する理解を深めながら、法規制やルールのあり方について講義を行ったが、本年度はVRゴーグルを装着することで、よりメタバース・ワールドに没入し、ELSIに迫る。
2.2024年度寄附講座「メタバースと法」の概要
(1)講座のポイント
リアル・ワールドと切り離されたメタバース・ワールドの中において、メタバース・ワールドに必要な法整備について実務上の課題も踏まえながら実践的に検討しつつ、メタバース・ワールドからも、リアル・ワールドにおける法の本質や存在意義に再照射するような画期的な授業を展開する。
本年度においては、本講座専用のメタバース・ワールドを構築し、次のように大きく飛躍させる。
①法的課題やリスクの防除のあり方の検討のため、メタバースに係る理工学的基礎知識(メタバースの技術動向)を踏まえる目的で、文理融合教育を実施する。
②生死の境目も曖昧になるメタバースの性質上、死者の権利も包摂する必要があり、宗教倫理の側面にも着目する。
③受講生は、VRゴーグルを装着し、メタバース・ワールドにおける没入感と臨場感を体験する。また、多様なアバターに扮し、リアル・ワールドの物理的制約を超えて、自由で多様な自己表現と双方向コミュニケーションが可能となるメタバース・ワールドにおいて、社会における旧くて新しい問題である「自由とその限界」を考える。
④産学連携により、理論と実務を架橋しメタバースが抱える実務上の課題を踏まえた講義を通じ、より実践に即した形で法規制・ルールの考察を行う。
(2)講義の内容
①講座名:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社寄附講座メタバースと法
②担当教員:早稲田大学法学部肥塚肇雄教授、他
③授業日時:木曜日6限〔18:55~20:35〕
④対象:同学部学生3年次以上
⑤講義概要:2024年秋学期における全14回の講義予定。
(3)担当教員(肥塚教授)からの意気込み
「本年度は、受講生に文理融合の視点と、メタバース体験=没入感と臨場感から、メタバース・ワールドに求められる新たなルールを考察することに力点を置きたいと思います。この体験を通して、受講生が脳の仕組みや認識論にまで関心を広め、新しい時代のルールについて多面的に考察できるようになることを期待しています。
進取の精神で新しい課題に挑戦することが早稲田大学の建学の精神です。メタバース・ワールドにおいて必ずしも課題についての「解」が用意されていない法的課題に取り組むという点では、寄附講座「メタバースと法」はまさに早稲田大学法学部だからできる「学び」の場です。」
3.今後の展開
あいおいニッセイ同和損保と早稲田大学法学部は、これからも本授業科目の層の充実化に向けて歩み続ける。そして、あいおいニッセイ同和損保は、安全・安心なメタバースの発展に資する商品・サービスを進化させるとともに、早稲田大学法学部と協働して有為な人材育成を行い社会に貢献していく。
本講座の開講を機に、あいおいニッセイ同和損保と早稲田大学「先端技術の法・倫理研究所」は、教科書『メタバースと法』(成文堂、2025年)を共編して、2025年秋頃の発刊を目指する。併せて、2025年度は、本講座が開講3年目を迎える節目であることから、関係団体と協議し、シンポジウム「メタバースと法」(仮)を開催する予定である。