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アニコム損保、イヌの組織球肉腫の分子メカニズム解明により治療法の開発に前進

アニコム損保は、東京大学、日本小動物がんセンター、四国動物医療センター、日本獣医生命科学大学との共同研究(以下、本研究)を通じて、イヌの組織球肉腫の遺伝子変異とそれに起因した異常な分子経路を次世代シークエンサーで探索し、治療に有効となる新たな標的分子を同定した。この成果は、組織球肉腫の病態解明や新しい治療法につながる可能性がある。
本研究成果は、Springer Nature社が刊行する学術誌『Scientific Reports』にて、5月26日にオンライン公開された。
■本研究の成果
イヌの組織球肉腫(histiocytic sarcoma:HS)は非常に悪性度の高い腫瘍ですが、その稀少性から適切な治療法が見つかっていません。HSの治療に有効となる標的分子の特定を目的とし、最新の塩基配列解読装置(次世代シークエンサー)とイヌのHS細胞株を用いた実験によって、イヌHSの遺伝子変異とそれに起因した異常な分子経路の探索を行った。
はじめにイヌの遺伝子、とくにタンパク質をコードしている領域(エクソン)を網羅的に解析する『エクソームシークエンス』と、遺伝子の発現量を網羅的に解析する『RNAシークエンス』を行った結果、RTK(受容体型チロシンキナーゼ)シグナル経路とERK1/2(ERKシグナル)、PI3K-AKT(Aktシグナル)、STAT3経路の活性化に関連する遺伝子変異を発見した。
続いて『定量的PCR』と『免疫組織化学』による解析の結果、線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)が過剰発現していること、また全てのHS細胞株でERKおよびAktシグナルが活性化していることが確認されました。その上でFGFR1阻害剤の有効性を評価したところ、12種類のイヌHS細胞株のうち2種類の株において用量依存的な増殖抑制作用を示した。
本研究で得られた知見は、イヌHSにおいてERKおよびAktシグナルが活性化されており、FGFR1を標的とした薬剤が一部で有効である可能性を示しています。またこれらの成果は、ヒト分野でのがん研究や新規治療法の確立にも繋がる可能性がある。
今後も同社グループでは、様々な研究を通じて獣医療の発展と動物福祉の向上を目指していく。
【用語解説】
*RTK(Receptor Tyrosine Kinase/受容体型チロシンキナーゼ)シグナル経路:細胞表面に存在する受容体タンパク質の活性化によって始まるシグナル伝達経路の一つ。細胞の成長、分化、増殖、生存、および移動などの重要な生物学的プロセスを調節する。
*ERK1/2(Extracellular Signal-Regulated Kinase1/2):MAPKファミリーと呼ばれるタンパク質キナーゼの集合体の一つで、細胞内シグナル伝達経路で重要な役割を果たす。特に細胞の増殖や分化に強く関与しており、このシグナル経路が異常活性されると細胞増殖や発がんに影響している。
*PI3K-AKT(Phosphatidylinositol 3-kinase-AKT/Aktシグナル):シグナル伝達経路の一つ。細胞外のシグナル(RTKも含む)に応答して代謝、増殖、細胞の生存、成長、血管新生を促進する。がん、インスリン抵抗性、糖尿病、自己免疫疾患、神経障害など様々な疾患にAktシグナル伝達が関与している。
*STAT3(Signal Transducer and Activator of Transcription3)経路:シグナル伝達経路の一つ。STAT3は細胞内にシグナルを導入するための必須の転写因子群の一つで、組織修復や発がんとの関連が示されている。
*線維芽細胞増殖因子受容体1(Fibroblast Growth Factor Receptor1/FGFR1):細胞表面に存在する受容体タンパク質の一つ。線維芽細胞増殖因子(FGF)という成長因子からのシグナルを受け取る役割を担う。FGFはチロシンリン酸化部位を細胞内側に持ち、FGFのシグナル伝達の下流にERK1/2,STAT3やPI3K-AKTがある。

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