損保ジャパン、火災保険金支払い領域におけるAIによる建物の自動損害算定システムの導入
損保ジャパンは、東大発スタートアップの技術を使い、AI(人工知能)による建物自動損害算定システムについて、2023年7月からサービスを展開する。
1.提携の背景と目的
近年、地震、台風・豪雨等による洪水などの被害が多数発生しており、被災されたお客さまの生活再建を支える役割を担う損害保険会社には、より迅速な対応が求められる。
損保ジャパンは、これまで大規模災害発生時の調査員の適正配置やSNSを活用した水災被害状況分析・被害推定システムの導入、アプリで早期に保険金の目安がわかる「SOMPO水災サポート」の提供など、デジタル技術を積極的に活用し、災害時にお客さまを待たせることのない迅速な保険金の支払いを目指してきた。
一方で、火災保険における建物の保険金の支払業務のうち、修理見積書を確認して損害額を算定する業務は、その専門性の高さから損害保険登録鑑定人(以下「鑑定人」)などの社外の専門家による手作業で行ってきた。
具体的には、業者ごとに形式が異なる建物の修理見積書と被害写真を鑑定人等の調査担当者が1件ずつ確認する必要があるため、台風等で保険金請求が集中した場合は、保険金の支払いまでに平均2週間を要するといった課題があった。
このたび、「SOMPO建物AI見積り判定」を開発することで、人の手で行ってきた損害額の算定業務の一部を自動化し保険金の支払い所要日数の短縮を図る。SOMPOが掲げるパーパス「”安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」のとおり、被災されたお客さまの一日も早い生活再建のために、本システムによるスピーディな保険金の支払いを目指す。
この実現のため、最先端AI技術について深い知見を持つ東京大学鳥海研究室発のスタートアップである株式会社TDAI Lab(以下「TDAILab」)の技術を使する。TDAI Labは、過去には国際スポーツ生中継のリアルタイム翻訳を成功させるなど、AIシステム構築に多くの実績がある日本屈指の東大発AIスタートアップである。
2.「AI建物自動損害算定システム」の特徴
同システムはお客さまが提出された修理見積書をAIが読み取りデータ化する。その後、さまざまな記載がある見積書の表記のゆらぎについてAIが判断し、従来、専門的な知識と照らし合わせて調査担当者が行っていた保険金支払額の算定を、AIが行う。
同システムには、Humaninthe Loop(以下「HITL」)という最新の仕組みを導入してする。HITLはAIによる推論と人手での修正を組み合わせてアウトプットを生成する。また、人からAIへのフィードバックを自動で行うことで、AIモデルは逐次的に学習するため、使うにつれて持続的にモデル精度が向上していくといったメリットがある。
3.今後の展開
今後は対象の種目を順次拡大し、通常事案でもより一層の早い支払を実現する。
また、事故に遭われたお客さまに更なる安心をお届けするため、今後もさまざまなデジタル技術を積極的に導入し、これまでにない革新的かつ高品質な事故対応サービスを提供していく。