損保ジャパン日本興亜、スマホ活用した「テレマティクス保険」を開発
損保ジャパン日本興亜は、運転診断結果に応じて保険料が最大20%割引となる「テレマティクス保険」を国内の保険会社で初めて開発した。この商品に対応するスマートフォンアプリを今年8月に提供を開始し、年内に商品の販売を開始する予定。なお、割引の適用は、新たに自動車を所有する場合など前契約がなく、同社での新規契約の保険料が対象となる。
2016年1月から提供している個人向けスマホ用カーナビアプリ「ポータブルスマイリングロード」で収集した走行データをもとに、同社独自のアルゴリズム、データ・クレンジング技術等の先進技術を活用し安全運転度合いを分析して保険料(割引率)を算出する。安全運転度合いに応じた保険料割引の導入により、顧客にとって「より納得感のある保険料」を実現すると同時に、さらなる安全運転の促進を図り、「事故の無い社会」の実現を支援していく。
テレマティクス保険は、欧米諸国において普及しつつあるが、日本では事故の有無に応じて「適用される等級・保険料」が変わる等級制度が確立されていることを背景に、これまで積極的な商品開発は行われてこなかった。しかし、昨今のデジタル技術の革新や2014年の国土交通省での検討会などを受け、日本においてもテレマティクス技術の効果的な活用方法の研究が進んでいる。
また、近年では、自動車を所有せず、必要な場合にレンタカーやカーシェアリング等を利用するユーザーが若年層を中心に拡大している。しかし、安全運転の実績を持ちながらも、初めて自動車保険に加入する場合は、保険料が高額になるケースが多く、その負担が自動車の所有を控える理由のひとつとされている。
そのため、同社では、「テレマティクス技術を活用して安全運転をするドライバーの保険料を軽減できないか」という観点で研究・開発を重ね、これまでテレマティクス技術を活用した安全運転支援サービス「スマイリングロード」(専用ドライブレコーダーにより安全運転を支援する法人向けサービス)、「ポータブルスマイリングロード」を提供してきた。これらのサービス提供を通じて蓄積したテレマティクス技術に関するノウハウを活かし、「ポータブルスマイリングロード」で取得した膨大な走行ビッグデータの研究・分析の結果、「ドライバーの運転特性」と「事故の起こりやすさ」の相関関係が明らかとなり、安全運転が保険料節減につながるテレマティクス保険の開発実現となった。
新商品の割引適用には、通信機能付車載カーナビや専用車載装置などの特殊な専用機器は不要であり、日常的に利用されるスマホを活用することで、幅広い顧客への利用機会を提供する。
◆新商品の概要
▽仕組み(安全運転割引適用の流れ)
(1)カーナビアプリ「ポータブルスマイリングロード」をダウンロード
損保ジャパン日本興亜の自動車保険の契約の有無にかかわらず、誰でも無料で利用できる。なお、割引適用には、2017年8月に実施予定のバージョンアップ後のアプリを利用する必要がある。
(2)アプリで一定期間の「運転診断」を実施
保険料割引のための「運転診断」を実施する。独自のアルゴリズム、データ・クレンジング技術等により、ドライバー本人の走行データであることを特定し、運転特性を分析する。
(3)割引率の確定
適用可能な割引率(最大20%)と割引の適用可能時期をアプリ上に表示する。
(4)損保ジャパン日本興亜で新たに自動車保険契約を締結
同社と新たに締結する自動車保険契約(初めて自動車保険に加入する場合とセカンドカーの自動車保険に加入する場合を対象とする)に、保険料割引が適用される。割引の適用には、保険契約締結前に(1)~(3)を実施する必要がある。