損保協会、「損害保険会社による便宜供与適正化ガイドライン」を策定
損保協会は、「損害保険会社による便宜供与適正化ガイドライン」を策定した。
併せて、過度の便宜供与への該当が疑われる事案について、損害保険会社の役職員から通報を受け付ける通報窓口(損害保険会社による便宜供与の適正化に関する通報制度)の運営を開始する。
1.「損害保険会社による便宜供与適正化ガイドライン」の概要
本ガイドラインは、「保険会社向けの総合的な監督指針」で過度の便宜供与の防止が定められたことに伴い、損害保険会社の保険代理店等に対する便宜供与の適正化を図り、「顧客本位の業務運営の徹底」および「健全な競争環境の実現」、さらには「保険代理店の自立化」を実現することを目的としている。
ガイドラインでは、便宜供与の適正化により損害保険会社が目指すべき姿や、適正化にあたり遵守すべき法令等を明記したうえで、損害保険会社の役職員として便宜供与の適否を判断するための基本的な考え方(判断の目安)を整理している。
また、過度の便宜供与の該非判断にあたって、参考となる代表的な便宜供与の事例を取り上げた「想定事例集」を作成した。
<過度の便宜供与の類型・判断の目安>
【1】「約定する行為」(ニギリ)および「達成基準を課す行為」(ノルマ)の性質を有するもの
【2】上記1の性質を有することが明らかでない場合であっても、実質的に自社の保険商品の優先的な取扱いを誘引すると判断されるもの(判断の目安は次のとおり)
①必要性便宜供与の趣旨・目的に照らし、損害保険会社の業務運営上、
または社会儀礼として、必要性があると認められるものか
②適正性その価格・数量・頻度・期間の適正性が認められるか
③公平性保険代理店間の公平性が十分に認められるか
④合理性
上記①~③の要件が社会通念等に照らして客観的な合理性をもって(保険契約者、さらには社会に対して)説明ができるか
■保険代理業への便宜供与は、上記①~④の要件に加え、次の点に留意
・オーバーコミッション保険代理店が負担すべき費用を損害保険会社が負担していないか
・教育・管理・指導/社員・代行
保険代理店が自らの責任において行うべき業務に対して損害保険会社が役務を提供していないか
■損害保険会社による便宜供与適正化ガイドライン(本編)
https://www.sonpo.or.jp/about/pdf/bengikyouyo_guideline.pdf
■損害保険会社による便宜供与適正化ガイドライン(別冊)想定事例集
https://www.sonpo.or.jp/about/pdf/bengikyouyo_guideline_appendix.pdf
2.通報窓口(損害保険会社による便宜供与の適正化に関する通報制度)の概要
同協会に通報窓口を設置し、上記ガイドラインに加え、「損害保険会社からの出向者派遣に係るガイドライン」および「政策保有株式に係るガイドライン」に関連する過度の便宜供与への該当が疑われる事案を対象として、損害保険会社の役職員から通報を受け付ける。
同協会は、通報の相手方となった損害保険会社に通報内容を通知する。
通報を受けた損害保険会社では、通報内容に基づき事実関係の確認を行い、過度の便宜供与への該非を判断のうえ、改善につなげる。
また、本制度を通じて入手した情報(全体の傾向等)については、損害保険会社へ共有するほか、代理店業務品質評議会へ定期的に報告することで、本制度の運営および各種ガイドラインの改定等につなげる。また、金融庁にも定期的に報告する。
なお、2026年度以降、本制度と代理店業務品質評議会が設置する通報窓口を一本化し、一般消費者や保険代理店を含め、業務品質について広く通報を受け付ける予定である。
3.今後の対応
同協会は、上記の通報制度を通して、便宜供与の適正化に向けた会員会社の取組状況を定期的にフォローアップしていく。