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東京海上日動火災、「カーボンクレジット対応費用保険」を開発

東京海上日動火災は、カーボンクレジットの価値が毀損した場合に、カーボンクレジットの所有者が代替品を調達する費用等を補償する、カーボンクレジット所有者向け保険「カーボンクレジット対応費用保険」を開発した。
1.背景
2024年11月に開催されたCOP29において、パリ協定第6条に基づき、GHGs排出(以下「排出」)削減や、吸収・除去の量を国際的に分配する運用を実施することが決定した。2024 年より国際航空業界では CORSIA(*1)加盟国の国際航空会社に対して、排出量を基準以下に抑制することが義務付けられているが、カーボンクレジットで排出をオフセットすることが認められている。そうした背景もあり、カーボンクレジットの国際的な需要はますます加速していくことが見込まれている。
一方で、カーボンクレジットによる排出オフセットについては、その開示情報が外部から厳しく監視・評価されるようになりつつあり、グリーンウォッシング批判に晒されるリスクを抱えている。カーボンクレジットの創出元であるプロジェクトの認証(*2)が取り消された場合は、企業が所有するカーボンクレジットが価値を失い、脱炭素目標の達成のために代替品の購入を要したり、基準排出量の未達に伴い事業活動が制限されたりする、といったリスクが顕在化するおそれがある。
同社は2024年7月より「カーボンクレジット・レピュテーション費用保険」を国内で提供開始しているが、今般新たに、創出元であるプロジェクトについて発生した特定の事由に伴い、カーボンクレジットの価値が毀損した場合に、企業が被る損害を補償する「カーボンクレジット対応費用保険」を開発した。
(*1) Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation:国際民間航空機関(ICAO)によって策定された、国際航空業界のCO2排出抑制による気候変動影響の軽減を目的とした制度。
(*2) カーボンクレジットの創出を目的とするプロジェクトは、認証機関による審査を経て認証を受けることで、カーボンクレジットの創出を行うことができる。
2.商品概要
被保険者が所有するカーボンクレジットの創出元であるプロジェクト(*3)(以下「対象プロジェクト」)について、以下の対象となる事故が発生した場合に、被保険者が被る損害を補償する。
(*3) 特定の第三者機関が認証したプロジェクトを対象としている。
【対象となる事故】
被保険者が所有するカーボンクレジットが、対象プロジェクトについて次のような事由が生じた結果、価値が毀損すること。
①対象プロジェクトの火災、自然災害、その他人為的なミス等の原因による損壊
②対象プロジェクトの開発者の倒産または事業撤退
③対象プロジェクトの開発者・出資者等による詐欺または横領 等
【補償する損害】
対象プロジェクトについて、上記の対象となる事故が生じた場合に、被保険者であるカーボンクレジット所有企業が代替のカーボンクレジットを調達するために支出した費用や逸失する利益に対して、契約条件で定められた保険金を支払う。
3.今後について
同社は、カーボンクレジット取引市場の成長を支える保険商品・サービスの開発を通じて、カーボンニュートラルの実現・脱炭素社会への移行に一層貢献していく。

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