損保ジャパン、気候リスクに対する補償をオーダーメイドで提供開始
損保ジャパンは、企業の経営や事業活動に大きな影響を与える気候リスク※1に対する補償をオーダーメイドで組成して提供する取組みを開始する。本取組みでは、気候リスクに対する保険組成についての専門的な知見に関する情報をお客さまに開示し、専門チームのもとで、オーダーメイドでの保険組成から引き受けまでを一貫して行う。
本補償を気候リスクに対する適応ファイナンス※2として提供し、国内市場において普及させることで、お客さまの気候変動への適応を支援するとともに、持続的な企業の経営と事業活動の安定化に貢献する。
※1 異常気象など気候によって、影響を受ける可能性
※2 企業の気候変動への適応を促進するための金融サービスを提供するファイナンス手法
1. 背景と目的
地球温暖化による気候変動の影響で、夏季の猛暑日や大雨の回数が増えるなど過去に比べて極端な天候事象は増加しており、気候リスクは高まっている。
気候リスクは、さまざまな産業における企業の経営や事業活動に対して不確実な影響を与えるが、不確実性を抑制して安定化させるためには、損害保険を含む適応ファイナンスの活用が有効である。
従来、損保ジャパンでは、自然災害によって企業の建物や財物が直接的な損害を受けた場合の保険として火災保険を含む伝統的な損害保険を提供している。一方で、気候リスクの増大によって、企業の建物や財物に直接的な被害がなくても、事業活動における費用増大や売上減少などキャッシュフローの悪化に備えるためのリスクヘッジを目的とした損害保険を含むファイナンスに対するニーズは高まりつつある。
損保ジャパンは、気候リスクに対する保険組成の取組みを強化することで、お客さまの適応を支援していく。
2. 概要
(1) 専門的な知見の開示
新たに、損保ジャパンの気候リスクに対する保険組成についての専門的な知見に関する情報を開示する。
気候リスクにともなう事業リスクを保険で対応する選択肢があることを、広くお客さまにお伝えし、国内ではまだ普及が進んでいない保険の認知度向上に繋げる。
また、お客さまに、あらかじめ保険組成のイメージを把握してもらうことで、オーダーメイドで保険設計するプロセスの効率化に繋げ、保険組成から保険契約までの時間短縮を図る。
(2) 専門チームによる保険組成、引き受けおよび管理
気候リスクに対する保険組成、引き受けおよびリスクの管理については、専門チームのもとで一元管理して対応する。気候リスクは現在進行形で高まっているリスクのため、リスクの傾向とボラティリティ(変動性)を見極める必要があり、保険を組成するためには専門的な知見と技術を要する。
また、再保険を活用して、引き受けた保険リスクを分散させる必要がある。保険組成からリスク管理までを専門チームで一貫して対応し、健全な保険引き受け体制のもとで、お客さまに最適な保険を提供していく。
(3)気候リスクに対する保険の概要
① 保険の内容
気候リスクにつながる天候事象によって、事業活動における費用が増加または売上げが減少した場合の損害を補償する保険である。
お客さまの損害と因果関係にある天候事象の発生を「保険事故」として定義し、「保険事故」が発生したことに伴う、お客さまの実際の損害額に応じた保険金を支払う。
② 対象となるリスクの例
・電力小売事業者:電力需要が増加する猛暑または厳冬時に、電力市場価格が高騰し調達にかかる費用が計画値を超過するリスク
・自然再生エネルギー発電事業者:太陽光発電、風力発電、水力発電など、例年にない異常気象によって、自然エネルギー資源が不足した結果、発電量が減少し利益が減少するリスク
・工事発注者/工事事業者:工事中断となる悪天候日数が計画を上回り、工事にかかる費用が計画値を超過するリスク
これ以外にも、農業、レジャーまたは物流など、さまざまな産業における企業の気候リスクが保険の対象になる。
3. 今後について
損保ジャパンは、気候リスクに対する保険組成の取組みを強化することによって、保険組成のノウハウおよび知見の拡大・向上につなげる。そして、さまざまな企業に対する適応ファイナンスとしての新たな選択肢を提供することで、お客さまの持続的な経営または事業活動の安定化に貢献する。
また、本取組みに限らず、「“安心・安全・健康”であふれる未来へ」というSOMPOのパーパス実現に向けて、お客さまの課題および社会課題の解決に貢献していく。