東京海上日動、「BALM社(旧ビッグモーター社)による保険金不正請求等」に関する対応(その4)
東京海上日動はこれまで、お客様の被害回復を最優先事項と位置付け、不正請求の調査や等級訂正等※1の対応を進めてきた。同社は、旧ビッグモーター社から不正請求事案対応を引き継いだ株式会社BALM(以下「BALM社」)および外部調査委員会との協議や提案内容等を踏まえ、今後調査範囲を拡大し、お客様の被害回復に向けた対応を進めていく。
※1「ビッグモーターグループの不適切な保険金請求」に関する同社の対応について
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/news/230728_01.html
1.不正請求の調査について
(1)調査状況
同社は旧ビッグモーター社の不正請求疑義が発覚して以降、BALM社や外部調査委員会による調査に先行して、見積書・損傷画像等をもとに不正の類型・手口を踏まえた自主調査を実施してきた。
一方で、不正請求事案の特定や金額の確定には、修理工場が保持しているデータ等を用いた精査が必要なためBALM社との協議も続けてきた。
(2)今後の対応
同社は、BALM社との協議および同社から11月20日に公表された内容※2を踏まえ、2018年1月以降の全ての事案に調査範囲を拡大していく。
■調査期間:2020年6月から2023年7月まで※3
対象件数:約23,000件
同社の調査状況:全件自主調査を完了。
今後の対応:BALM社が保持するデータを精査のうえ、不正請求事案の特定と金額を確定。
■調査期間:2018年1月から2020年5月まで※4
対象件数:約19,000件
同社の調査状況:自主調査を実施中。
今後の対応:全件調査を実施し、BALM社と協議のうえで不正請求事案の特定と金額を確定。
※2 https://balm-info.jp/assets/pdf/document_241120.pdf
※3 2020年8月旧ビッグモーター社が設置したPricingTeam(保険会社との協定を集中対応するチーム)により、不正請求が全国に拡がったと考えられるため、PT設立前後の請求内容を精査する観点から2020年6月以降を先行調査期間としている。
※4 旧ビッグモーター社が設置した特別調査委員会において「疑義の可能性が高まった」とされる2018年1月以降に全件調査の範囲を拡大するが、2017年以前についても一定の類型・頻度で疑義が確認された場合、対応方針をBALM社と協議していく。
2.お客様の被害回復に向けた対応について
(1)等級訂正の対応状況
不正請求金額の確定には修理車両毎の精査が必要となり、全ての事案の確定までには相当な時間を要することが想定された。そのため、同社において暫定的な不正請求金額※5に基づき算出された保険金(以下「暫定保険金」)と割増保険料の比較を行い、対象となるお客様に等級訂正の意向を確認のうえで対応を進めてきた※6。
(2)今後の対応
調査が完了した事案については、不正請求の有無・金額を確定のうえ、お客様に案内する。すでに暫定的な等級訂正対応を行ったお客様については、不利益が生じないよう暫定的な不正請求金額との差額の返戻等の対応を進めていく。
今後調査を進める事案については、調査結果を踏まえ、対象となるお客様に等級訂正の意向の確認等を進めていく※7
。なお、等級に関係のないフリート契約(車両10台以上の自動車保険契約)についても、不正請求金額が確定次第、保険料の返戻有無等について案内する。
■対象期間:2020年8月から2023年7月まで
現在の対応状況:暫定保険金と保険使用による割増保険料の比較を実施。(詳細は2023年8月30日ニュースリリース記載※6)保険使用されたお客様の約9割に等級訂正に関する案内を実施済み。
今後の対応:暫定保険金で等級訂正済みの場合、確定した不正請求金額を踏まえ、返戻等の対応を実施。
(詳細は2023年8月30日ニュースリリース記載※6)
■対象期間:2018年1月から2020年7月まで
現在の対応状況:対象契約を調査中。
今後の対応:確定した保険金と保険使用による割増保険料の比較を行い、等級訂正によるメリットがあると考えられるお客様に意向確認等を実施。
※5 暫定的な不正請求金額は、旧ビッグモーター社により公表された不正請求金額の平均値を根拠としている。
※6 2023年8月30日暫定的な不正請求金額の設定による等級訂正の対応について
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/230830_02.pdf
※7 旧ビッグモーター社で修理したものの保険使用されていないお客様において、不正請求が確認された場合、その旨を案内予定。
3.不正請求に対する取組みについて
同社では、お客様の被害回復に向けた取組みに加えて、旧ビッグモーター社の事案を踏まえた「不正請求疑義の早期発見」や「牽制強化」の態勢整備を進めている。
(1)着工前写真取付(2023年10月から)
「修理工場へ入庫する前の事故車両の写真」をお客様が撮影・送付する案内を開始。
(2)立会確認の強化(2023年12月から)
作業途中の車両についてランダムな立会や、修理工場への訪問頻度を高める等の牽制強化を開始。
(3)不正対策専門チームの設置(2023年9月から)
東京海上日動調査サービス株式会社内に専門チームを設置し、不正請求に関する情報の集約や分析を行うとともに、得られた知見を情報発信や研修等を通じて全国の事業所に展開・浸透させる取組みを開始。
(4)デジタルを活用した査定精度の向上(2023年12月から)
査定担当者(アジャスター)に対して、旧ビッグモーター社の事案で明らかになった不正請求の類型等を参考に、査定時に留意すべきポイントを示す新たなシステムを導入。
(5)データを活用した異常値分析(2023年9月から)
個別査定では検知しきれない不正発生の可能性を早期に覚知するため、同社保有の修理費に関するデータを活用し、修理工場毎に分析(異常値の検知)する態勢を構築。