東京海上日動、中小機構による「令和6年度中小企業強靱化のための事業計画策定支援等に係る業務を受託
東京海上日動は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」)による「令和6年度中小企業強靱化のための事業計画策定支援等に係る業務」を受託した。同社は、同事業を通じて、全国の中小企業・小規模事業者(以下、事業者)の強靱化支援を行い、災害に強い地域づくりに貢献していく。
1.背景
近年、日本全国で集中豪雨の頻発や巨大地震の発生等、自然災害が激甚化している。さらに、新型コロナウイルス感染症収束後の経済回復に向けた企業の資金体力の確保、サイバー攻撃の多発等、企業を取り巻くリスクはより複雑化しており、これらに対する適切な備えは重要な経営課題となっている。
特に、企業数の99%以上を占め、日本の経済を支える中小企業のリスクマネジメントの高度化は不可欠であり、2019年に施行された「中小企業強靱化法」も踏まえると、各種リスクに対する初動対応から万が一の際のリスクファイナンスの準備等、より実効性のある対策が求められている。しかし、事業継続計画(BCP)を策定している中小企業は15.3%にとどまっており、策定できていない主な要因として、必要なスキル・ノウハウや人材の不足等が挙げられる(2023年帝国データバンク調査より)。
そのような中、中小機構は、防災・減災対策の知見を有する専門家への事業委託により、希望する事業者に対して、簡易版BCPである「事業継続力強化計画」※1の策定・申請支援を行っている。令和4・5年度の同事業は同社が受託し、2年間の累計で約3,400社の策定支援を実施した。令和6年度においても同事業の受託事業者の公募選定が行われた結果、同社が受託することとなった。
令和6年度においては新たに、企業の資金繰り計画の策定に役立つ「リスクファイナンス判断シート」※2等も活用し、同社の有するノウハウを活用した実行性の高い支援を実施する。
同社として、「事業継続力強化計画」の申請支援事業を通じて、事業者がBCP策定に向けて一歩踏み出すことをお支えすることで、同社のパーパスである「お客様や地域社会の“いつも“を支え、“いざ“をお守りする」ことを実践していく。
※1「事業継続力強化計画」とは、事業者が策定した防災・減災の事前対策に関する計画である。また、経済産業大臣が当該計画を認定する制度があり、認定を受けた事業者は、税制優遇や金融支援、補助金申請時の加点などの支援措置を受けることができる。
※2「リスクファイナンス判断シート」とは、経済産業省関東経済産業局が開発した水災と地震についてハザードマップ等の情報を基に各事業者が休業期間等を設定し、さらに決算関係書類の情報等を入力することで、休業時に必要となる資金や保険などの調達可能な資金を簡易に算定・比較できるツールである。なお、本ツールの開発は公募事業として同社グループ企業の東京海上ディーアール株式会社が受託し、同社も開発に参加した。
2.「令和6年度中小企業強靱化のための事業計画策定支援に係る業務」の概要
(1)事業継続力強化計画の申請支援
中小機構からの受託契約に基づき、同社は希望する全国約1,000社の事業者に対し「事業継続力強化計画」申請支援を行う。具体的には、事業継続力強化計画の意義および認定までの流れを説明することに始まり、ハザードマップに基づく被害想定の把握、初動対応の明確化といった計画策定に必要な検討をサポートする。全国の同社および委託代理店の拠点網を活用し、事業者のニーズに合わせてオンライン・対面を併用しながら支援を行う。
(2)新たな取り組み
今年度の認定制度の変更点を踏まえ、同社として令和4・5年度の経験を活かしつつ、より実効性の高い申請支援を行っていくため、以下の新たな取り組みを実施する。
①事業継続力強化計画の申請に必要となるGビズIDの取得方法や申請手続き方法等、申請にかかる知識が習得できるカリキュラムを作成する。
②「リスクファイナンス判断シート」を活用し、各事業者にとって必要な資金と調達可能資金をシミュレーションし、資金繰りに課題がある場合には、同社が保険・金融事業を通じて培ったリスクマネジメントノウハウを活かし、公的資金制度の案内や保険でのリスク転嫁等の資金の補填方法について紹介する。
(3)同事業実施に伴う情宣活動
事業者への個別の案内の他、商工団体や地域金融機関等と連携したセミナーの開催や広報物の作成・配布を通じて、地域ごとに最適な情宣活動を実施していく。また、TOPPANエッジ株式会社と共同事業体を結成することにより、全国規模の発信も行っていく。
3.今後について
同社は、「レジリエンス」を5分野目の社会課題重点領域と位置づけ、2024年7月1日に「レジリエンス室」を設置し※3、地域社会の防災・減災の取り組みを支援していく体制を強化している。中小機構と一体で「中小企業の強靱化」や「災害に負けない地域づくり」の実現を目指すとともに、同社は今後も中小企業を取り巻くリスクの変化をとらえ、事業継続や新たな挑戦と成長を後押しする新たな保険商品やサービスを開発・提供していく。
※3 お客様への価値提供の拡大に向けた「レジリエンス」の取り組みについて~レジリエンス室の設置による体制強化~