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東京海上日動、GIGAスクール端末の適切な使用に向けたユーザー調査結果を公表

東京海上日動は、GIGAスクール構想の持続的・安定的な運営に向けて、学習用端末(以下「GIGAスクール端末」)を使用する児童・生徒の保護者20,000人を対象に、GIGAスクール端末の使用実態に関する調査を実施した。
1.調査目的・背景
2019年に文部科学省が打ち出したGIGAスクール構想により、教育の質の向上を目的とし、子供たち一人ひとりにパソコンやタブレットの端末の配布と、高速大容量の通信ネットワーク等の教育ICT環境の整備が進められている。
一方で、GIGAスクール端末の普及に伴い、使用実態や故障・破損時の対応について自治体や学校によってバラつきが生じていること、多額の修理代や事務ロードが自治体や学校の大きな負担となっていることなど、運営フェーズにおける課題が生じている。
同社は、GIGAスクール構想開始以来、教育用端末に付帯する保険や、販売会社が提供する保証に対して保険引受けを行うこと等を通じ、GIGAスクール端末普及の支援を行ってきたが、当初の想定を超えた故障・破損が生じていることから、GIGAスクール構想の持続的・安定的な運営に向け、国内で初めて(※)、GIGAスクール端末ユーザーの保護者約20,000人を対象に、端末の使用実態等に関する調査を実施した。
GIGAスクール端末の使用実態や課題を把握し、適切な使用を促すことで安定的な制度運営を支援していく。
(※)同社調べ2024年3月時点
2.調査概要
(1)調査対象:GIGAスクール端末を使用している児童・生徒の保護者20,000人
(2)調査方法:インターネットを用いた対象者へのアンケート
(3)調査時期:2023年10月17日~10月23日
(4)調査項目:GIGAスクール端末の使用実態や故障・破損の発生状況・実態
3.GIGAスクール端末の使用実態に関する調査結果
(1)約80%が端末を自宅に持ち帰り。学校からの管理指導には温度差も
■対象者20,000人のうち、約68%が学校と自宅での持ち運び(学校と自宅両方でGIGAスクール端末を使用)があると回答している。また、使用頻度は「平日のみ使用」が約57%、「休日も使用する」との回答が約43%だった。私立学校は国公立に比べて、GIGAスクール端末を自費購入させている割合が高いことから、休日含めての使用日数が増える傾向がある。
■端末の使用・管理について、「学校から適切な指導がある」との回答は約60%ある一方、「具体的な指導はあるが守れていない」「具体的指導がない」「分からない」など、指導が十分に行き届いていないと感じている人も約40%存在している。
■破損・故障場所として最も多いのは学校敷地内であるが、約43%は学校敷地外(主に自宅)で発生しており、学年が上がるにつれて学校外への持ち運び頻度も増えることから、故障・破損ともに増加する傾向がある。
(2)故障・破損率は持ち運びにより約2倍、指導の有無により約3倍にも上昇
■「学校と自宅の持ち運びがある場合」の故障・破損率は、「学校のみで使用している場合」と比較して、自然故障は約2倍、破損は約4倍となっている。また、「学校からの指導が行き届いていない場合」には、「具体的な指導がある場合」と比較して、自然故障・破損の率ともに高い傾向にあり、特に破損については、約3倍の差が出ている。持ち運び時の保護対策(ケースやカバーの活用など)や、学校外での使用・保管時の端末の扱い方など、実効性のある指導が十分ではない場合、故障・破損率の悪化に影響を与えていると考えられる。
(3)端末型式によっても破損・故障率に差異あり
■教育用端末は、自治体や学校によって使用する型式は様々であるが、端末型式によって故障・破損率が異なっている。具体的には、「タブレット端末」、「コンバーチブル端末(ディスプレイを360度回転させることのできるタブレット端末)」、「デタッチャブル端末(ディスプレイ部分とキーボード部分が着脱可能で、分離して使用できる端末)」、「ラップトップ端末」と4つの型式に分けた場合、デタッチャブル端末やコンバーチブル端末の故障・破損率が高く、タブレット端末やラップトップ端末の方が壊れにくい傾向にある。自治体・学校における端末調達に際しては、耐久性の観点でもその特徴を十分に踏まえた上で、調達する端末を決定することが望ましいと考えられる。
(4)破損原因の4分の1は、「落下」によるもの
■破損の要因としては「落下」が最も多く全体の約26%を占めており、うち約57%が机上からの落下となっている。次いで、「ぶつけた」「圧迫した」等の理由があげられ、「ぶつけた」と回答した者のうち、約54%は持ち運び時に発生をしている。学校向けには、机上からの落下対策として防止柵等も販売されているものの、整備が浸透しきっているとは言い難いことからも、保護ケース等と併せた事故削減対策が必要と考えられる。
(5)自己負担ルールについては、自治体・学校による差異あり
■故障・破損に際し、修理費用の一部または全部を使用者側で自己負担した方の割合は19%だった。また、自己負担がなかった方についても、約55%が1,000円以上の修理費用の自己負担を許容すると回答している。既に自治体によっては、事故の原因・態様により、修理費用の一部または全部を学校負担(保証・保険含む)ではなく使用者負担とする例があることからも、端末使用と破損・故障時の負担ルールを予め定め、自治体・学校の負担額を抑制すると同時に、児童・生徒の適切な端末使用を促すルールや運用整備が重要と考えられる。
4.今後の取り組み
今後、2025年以降には大規模な端末の入れ替えが予定されており、「壊さない」適切な使用や管理方法の働きかけが重要と考えられている。同社は、今回の調査を通じて明らかになった使用や管理の実態をもとづく事故の傾向や対策について、自治体や保証の提供を行う販売会社等へ情報提供を行い、GIGAスクール端末の適切な使用を促進するための働きかけを行うとともに、万一の際にも安心してGIGAスクール端末の使用を継続できるよう、保険の提供や保証の構築支援を通じて、引き続きGIGAスクール構想の実現と安定的な制度運営を支援していく。

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