損保ジャパン、newmoと業務提携~ライドシェア向け保険商品の開発など
損保ジャパンとnewmo株式会社(以下「newmo」)は、地域交通の「担い手」や「移動の足」不足といった社会問題に対応するため、ライドシェア事業に関する保険商品・サービスおよび安全促進への取組みの検討に係る個別業務提携契約を3月に締結した。
1.背景
2023年12月20日に開催された第3回デジタル行財政改革会議にて決定された「デジタル行財政改革中間とりまとめ」において、タクシー・バス等のドライバー不足の深刻化に対して「地域の限られたリソースを活用し、支え合って移動の足を確保する仕組みが不十分」「運転者の確保が困難」等が課題に挙げられた。
中間とりまとめには、これらの課題解消に向けた政府の取組みとして、「タクシー事業者が運送主体となり、地域の自家用車・ドライバーを活用し、アプリによる配車とタクシー運賃の収受が可能な運送サービスを2024年4月から提供する(道路運送法第78条第3号に基づく制度の創設)」と明記されており、一般のドライバーが自家用車を使い有償で利用者を送迎するライドシェアが部分的に解禁される予定である。
部分解禁にあたっては、一般のドライバーや自家用車等による新たな運行形態の開始に伴い、ライドシェアサービス提供に係るリスクと保険を含めた対応策の洗い出し、最適な保険およびサービスの構築など安全性の担保についてさまざまな対応が求められる。
また、ライドシェアの活用においては配車アプリや運行管理のシステム等でテクノロジーの活用が見込まれており、車両・走行データ等を活用した新たな運行管理や安全確保の仕組みの検討も期待されている。
2.提携の目的
newmoは、“利用者視点に立ったサステナブルな地域交通”の実現に向け、2024年1月に設立された。2月には約15億円の資金調達を行い、大阪市域交通圏においてタクシー事業を提供する株式会社岸交への資本参加を発表し、タクシー・ライドシェア事業の提供に向けた準備を進めている。
損保ジャパンは、2019年7月に市町村やNPO法人等向けに「移動支援サービス専用自動車保険(地域の移動を支える保険)」の提供を開始し、登録ドライバーが移動支援サービスを提供している間に事故が発生した際には、登録ドライバー自身が契約する自動車保険ではなく、「移動支援サービス専用自動車保険」で対応することを可能としている。これにより、ドライバー確保の課題を解消し、地域における移動支援の実現を後押ししている。
両社は、今回の提携を通してそれぞれのノウハウや顧客基盤を持ち寄り、できるだけ多くの利用者に安心・安全なライドシェアサービスを提供することで、地域の交通課題解決を目指する。
3.協業内容
損保ジャパンとnewmoは、安心・安全なライドシェアの実現・普及を目指して協業し、以下の取組みについて検討を開始する。
保険領域
・ライドシェア事業開始に向けた新たな保険商品・サービス
・事故発生時の対人・対物賠償、人身傷害、車両等に関する補償
・ライドシェア事業の中で見えた課題への補償やサービス
・ライドシェア事業から得られたデータの活用
保険周辺領域
・自家用車両へのドライブレコーダーの提供・設置
・安全運転講習の実施
・収集したデータを活用した安全運転促進活動(スコアリング、
ドライバーへの安全運転技術指導等)
4.今後の展開
損保ジャパンとnewmoは、社会課題をいち早く捉えた保険商品やサービスを継続して検討し、SDGsの目標:11「住み続けられるまちづくり」に貢献していく。
また、今後もお客さまのさまざまなリスクに対応する商品・サービスを提供することで、安心・安全な社会の実現に寄与する。