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東京海上日動、業務改善計画書を提出

東京海上日動は、2023年12月26日に受領した保険料調整行為に関する業務改善命令※に基づき、2月29日、金融庁に業務改善計画書を提出した。
同社は、業務改善命令を厳粛に受け止め、このような事態を二度と起こすことがないよう、各種調査結果に基づく真因を踏まえ、仕組み・体制面(契約プロセス、機構・制度・ガバナンス)、意識面、知識面といったあらゆる観点から再発防止策を検討し、経営責任の明確化を含む業務改善計画を策定した。
1.経営としての受け止め(一部抜粋)
この度発生させてしまった不適切行為は、お客様の利益を損ね、同社のあらゆる事業活動の原点である「お客様の信頼」を根本から失う行為であり、経営として重く受け止め、深く反省している。その上で、同社は今回の事案を決して「保険料調整だけの問題」として捉えることなく、問題の背景にある真因を追究し続けてきた。
お客様や社会から失った信頼を回復し、1879年の創業時から途絶えることなく受け継いできた「お客様や社会の“いつも”を支え、“いざ”をお守りする」という同社のパーパスを実現する「本当に信頼されるお客様起点の会社」となるために、経営が先頭に立ち、コンプライアンス・お客様本位を重視する健全な組織風土の醸成、抜本的な経営管理態勢の強化に取り組むとともに、全社一丸となって業務改善に取り組んでいく。
(1)同社に根付いた業界慣行の抜本的な見直し
同社が顧客企業に提供したいと考えている「保険本来の価値」よりも、単なる保険料の多寡、政策株式の保有状況、本業協力度合い等によって幹事保険会社や取引シェアが決定するケースも存在しており、同社も「保険本来の価値」だけではなく、そのような領域でも競争を行ってきたことは事実である。
今回の事案を転機と捉え、お客様に何を提供することが同社の責務であるのか、お客様のために何をすべきかを今一度見つめ直し、たとえば政策保有株式をなくすことや過度な本業協力の解消、顧客企業ではなく代理店に向けた過度な競争からの脱却等、同社に根付いてきた様々な業界慣行を抜本的に見直していく。
(2)社内制度や仕組みの見直し
経営管理態勢の抜本的な強化や適切な法令遵守態勢の確立等はもとより、適正な営業推進を実践するために、社内の制度や仕組みも見直していく。同社では、過去からトップライン(保険料収入)による営業目標の管理が行われており、社内表彰制度では組織の営業目標の達成が大きなウエイトを占めてきた。また、社員個々人の業績評価制度においては、組織目標をベースに個人のトップライン目標が設定され、その達成に評価の重きがおかれている実態もあった。今後は、顧客企業に対して「保険本来の価値」を提案、提供することを評価する仕組みに見直していく。
(3)人材育成の強化
激甚化する自然災害や複雑化する多様なリスクへの対応に加え、顧客企業が事業を継続するための事故の未然防止や被害を最小限に抑える取組みを含めた最適な保険プログラムを、適正な保険料で長期安定的に提供し、顧客企業のリスクマネジメントや企業価値の向上に貢献していくことが同社の責務である。一方で、同社は、時として目先の競争やマーケットシェアに目を奪われ、結果として顧客企業の保険に対する理解を高めてもらうための取組みが十分に行えてなかった。
今後は、社員がリスクマネジメントのプロフェッショナルとして、より高い価値提供を行うことができるよう従来以上に人材育成にも注力していく。そして、顧客企業、同社の双方にとって納得感のある最適な結論を見出し、顧客企業との永続的な信頼関係を構築することができる“しなやかで逞しい社員”を育成していく。
3.経営としての決意
今回、同社は業務改善命令を受領したことで、損害保険の社会的な役割や同社の存在意義、またその責任を改めて深く見つめ直すことになった。全ての役員・社員が同社のパーパスを実現するために何をすべきかを考え、行動するとともに、社会インフラの機能の一部を担うものとしての自覚と責任を、組織の隅々まで浸透させていく。
「正しいことを正しく行う」、その延長線上にしか同社の未来はなく、それができなければ同社はこの世に存在してはいけないという思いのもと、会社として正しいことを正しく行い、お客様や社会に「保険本来の価値」を届ける役割を果たしていく。正しいことを行った結果としての一時的な減収やシェアダウン等は、その時点では痛みを伴うことがあっても、経営として受け入れる覚悟である。
また、一連の問題を教訓として保険会社だけでなく代理店等も含めた保険市場本来のあり方を今一度検討していく。損害保険業界の一員として適正な競争環境の構築に取り組むとともに、社会から真に必要とされ、社会課題解決や経済成長に貢献し続ける会社および業界を創っていくためにも、決意をもって取り組んでいく。

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