あいおいニッセイ同和損保、東北大学、宮城県富谷市、仙台放送と「眼の機能」と「運転技能」の関係性を実証する新たなプロジェクト開始
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あいおいニッセイ同和損保は、国立大学法人東北大学大学院医学系研究科(以下、東北大学)、宮城県富谷市、仙台放送とともに、3月から、東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座眼科学分野中澤徹教授が率いるCOI-NEXT「VISION TO CONNECT」拠点のもとで、運転挙動データ等を活用し、「眼」の健康状態とクルマの「運転技能」との関係性を実証するプロジェクトを開始する。
1.背景・目的
自動車の運転は、様々な身体機能を統合的に活用して行う必要があり、特に情報の入口である視機能の役割は大きく、加齢や疾患等の影響で機能が低下している場合には、運転に悪影響を及ぼす恐れがある。
日常的な認知トレーニングにより運転技能が向上することは東北大学と仙台放送の共同研究により実証されているが、眼の疾患は自覚されないことがあり、重度の視野障害を有する運転者が自身の疾患に気付かずに運転を継続した場合には、信号や標識の見落とし等により重大事故を惹き起こすリスクが高まることが指摘※されている。こうしたことから、この度4者は、交通事故ゼロ社会を目指して、本プロジェクトを開始することとした。
本取組を通じ、あいおいニッセイ同和損保は、眼の健康状態に起因する事故の未然防止や運転寿命延伸へ貢献すべく、疾患の早期発見や早期治療の促進に資する新たな保険商品・サービスの開発を目指していく。
※国土交通省「令和4年3月29日自動車運送事業者における視野障害対策マニュアル」
2.実証実験の概要
・被験者の募集
富谷市:職員約100人を被験者として選出
・眼の健康状態の検査
東北大学:東北大学の医師による眼科検診の実施(眼の健康状態を把握)
・データの取得2024年3月(1か月間)
あいおいニッセイ同和損保:被験者にテレマティクス車載器を配布し、運転技能(挙動)のデータを取得。
仙台放送:被験者にBTOC※2による「脳のトレーニング」を実施
・データの分析
東北大学:取得した「運転技能」「脳のトレーニング」「眼の健康状態」のデータを突合し、3要素の相関性を分析
→これらにより、眼の健康状態に起因する事故の未然防止や運転寿命延伸へ
※2 東北大学加齢医学研究所と仙台放送が産学連携により共同開発した「トレーニング・アプリ」で、東北大学加齢医学研究所・川島隆太教授による脳科学研究の成果と仙台放送が開発・放送している脳のトレーニング番組『川島隆太教授のテレビいきいき脳体操』の知見から開発(特許6284171号)。実際の運転行為や疑似運転行為(シミュレーター等)を伴わない日常的な認知トレーニングにより、運転技能の維持・向上を目指すもの。
●本共同研究における4者の役割
・あいおいニッセイ同和損保
同社は、米国CambridgeMobileTelematics社製の車載器とスマートフォンアプリを活用したテレマティクスサービスにより、参加者自身の運転チェックや運転挙動のデータ取得を通じて、眼の健康維持と運転寿命延伸への貢献を目指す。また、集積したデータから危険な運転挙動が多かった箇所を可視化した地図を作成することで、地域の交通安全対策を支援する。
・東北大学
東北大学では、運転に関係する「眼」の健康状態を調べることを目的に、通常の視力だけではなく、動体視力や視野の測定を行った。また実際に車を運転する条件は夜間、霧が発生している日、太陽の光が眩しい日など様々で、このような条件下では道路と背景の「コントラスト」が低下する。コントラストの感度は視力とは別に低下することがあり、運転技能への影響を正確に評価するため、本プロジェクトではコントラスト視力と認知機能の測定も同時に行っている。これから測定する「運転技能」「脳のトレーニング」のデータにこれら「眼の健康状態」のデータを合わせて、3つの要素の相関を調べていく。
・富谷市
富谷市の国民健康保険における外来医療費の中で、緑内障や糖尿病性網膜症など眼科疾患にかかる医療費は比較的高い傾向にある。
本プロジェクト参加職員に対し実施する「眼の健康状態」の検査においては、眼科検査の結果を提供することで緑内障等の眼科疾患の有無を確認頂き、今後の眼科疾患の原因解明や治療方法の開発に役立てていく。
また、併せて富谷市は、昨今、自動車の保有台数が増加傾向にあること、また、移動にあたっての利用交通手段についても自家用車が大半を占めており、交通事故のリスクが高い状態にある。そこで、市内各公所に通勤する職員100人を対象に運転挙動のデータを1月間集積し、市内道路における急ブレーキ等が多い危険箇所や「運転技能」「専用アプリによる脳トレーニング」「眼の健康状態」の相関関係の解析にあたっての基となるデータを提供し、今後の市内における道路整備や交通安全対策等、交通事故抑制にあたっての有効なデータとして活用していく。
・仙台放送
仙台放送は、2022年10月から、1人1人のトレーニング状況をAIが解析し、プレイヤー毎に最適なトレーニングへ自動調整する機能を拡張する新サービス「BTOC(ビートック)」を開発した。「運転技能」「認知機能」「感情状態」の向上だけでなく、安全運転管理や商品開発など、データ活用の幅も広がってきており、本プロジェクトでは、参加者にBTOCを利用してもらい、そのデータと運転挙動、眼の健康情報の相関を調べていく。
3.今後の展開
同社は、本プロジェクトを通じ、地域とともに「交通事故ゼロ」を目指した取組みを進めていく。また、眼の疾患の早期発見・早期治療の促進に資する新たな保険商品・サービスの研究・開発を進めることで、WellBeingの向上と「元気で長生きを支える社会」の実現に貢献していく。