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損保ジャパン、AIによる気象リスク早期検知サービスと予兆保険の社会実装に向けた検証を開始

損保ジャパンおよびSOMPOリスクマネジメント株式会社(以下「SOMPOリスク」)、株式会社電通国際情報サービス(以下「ISID」)の3社は、「農作物に被害をもたらす自然災害・気象リスクの発生をAIによる予測モデルで早期に検知し、対策を促す」新たなサービス・保険について、社会実装に向けた検証を開始する。また、本検証の実施に協力するパートナー企業・自治体・研究機関を広く募集する。
1.背景
近年、日本各地で気候変動や異常気象に伴う自然災害が頻発している。自然環境の下で行われる農業はリスクが大きく、気象の影響による農作物被害は深刻で、農作物の収量や品質、価格は不安定である。一方で、近年、食の外部化(中食・外食産業の発展)に伴い業務用農作物の重要性が増し、農作物にも一定の収量・品質・価格が求められるようになってきており、フードチェーンの安定化が望まれている。
損保ジャパンおよびSOMPOリスクは、「”安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」という「SOMPOのパーパス」実現とレジリエントな社会の実現に向けて、農作物の収量・品質の安定に資する新たなサービス・保険として、気象の影響による農作物被害を未然に防ぐための「リスク検知・アラートサービス」の開発と、被害を未然に防ぐための対策にかかる費用に対して保険金を支払う「予兆保険」の組成を目指しており、昨年から、ビッグデータの取得や分析、農業IoTに強みを持つISIDと連携し、共同で取組みを進めてきた。
なお、各社の役割分担は、以下の通りである。
・損保ジャパン:「予兆保険」の組成
・SOMPOリスク:リスク予測モデル開発支援、保険組成支援、プロジェクトコーディネーション
・ISID:「リスク検知・アラートサービス」の開発(リスク予測モデル開発、サービスUI開発)
2.水稲高温障害発生予測サービス・予兆保険の取組み概要
3社は、これまで、特に水稲を対象とした取組みを進めている。本取組みでは、独自開発したAI予測モデルにより水稲の高温障害の発生を早期に予測するとともに、被害回避のために必要な追肥の実施を生産者に促すことにより、米の収量・品質の安定化を目指している。追肥にかかる費用を保険で補償するほか、無人ヘリコプターやドローンによる追肥作業の代行など、具体的な対策手段の提供もサービスに含めることを想定している。
水稲の高温障害は、稲が実る時期(登熟期)に気温が高くなることで発生し、収量不足と品質劣化を引き起こす。登熟期の高温が予想された際に、登熟以前の早期の段階(栄養成長期)に追肥を実施すれば、被害の発生を抑えられることは、農業技術として広く認知されている。
しかしながら、1~2か月先の気象を予想することは難しく、また、仮に高温が予想できたとしても、追肥にかかる労働力の確保や費用負担は、個々の生産者に委ねられることから、対策(追肥)を講じられるとは限らない。本取組みは、このような水稲の高温障害リスクと対策上の課題に対して、ソリューションを提供しようとするものである。
上記3社は、水稲の生育条件や気象条件からAIによって早期に将来の高温障害発生を予測する技術(予測モデル)の開発を目指し、技術検証に取組んできた。これまでに、複数の都道府県農業試験場などからデータ提供や助言の協力を得て、高温障害発生予測モデルのプロトタイプ構築を完了しており、このたび社会実装に向けた検証フェーズへと移行することとなった。
3.社会実装に向けた検証の取組み
検証地域や品種を拡大し、水稲の高温障害予測モデルの精度検証を行うとともに、追肥手段提供サービスについても検証を行う。また、本検証の実施に協力するパートナー企業・自治体・研究機関を募集する。
【募集概要】
応募条件:以下のいずれかにあてはまる方
①契約農家から業務用米の仕入れを行っている企業
②業務用米の生産を行っている生産者・生産者団体
③水稲の高温障害対策に関心のある自治体あるいは研究機関
期待する役割:予測モデルの検証のための実データの提供、実運用を想定した課題検証への協力など
検証実施期間:2021年11月~2022年3月(予定)
4.今後について
本サービス・保険は、契約農家を抱える商社や米卸売事業者を主な利用対象とし、契約先の生産者にアラートサービスとリスク対策手段を提供することを想定しているが、生産者の直接利用も可能だと考えている。
3社は、上記検証で得られた課題やデータに基づき、本サービス・保険の社会実装に向けた取組みを加速していく。また、こうした取組みを通じて、フードチェーンの安定化と、日本の農業・食品産業の発展に寄与することを目指す。

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