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損保ジャパン、ICTツールを活用した健康二次被害予防のための実証事業を12月1日から開始

損保ジャパンと、国立大学法人筑波大学(以下「筑波大学」)、株式会社つくばウエルネスリサーチ(以下「TWR」)は、厚生労働省及び経済産業省による「予防・健康づくりに関する大規模実証事業」の一環として、新潟県見附市の協力の下、コロナ禍での健康二次被害※1予防のための実証事業(以下「ICTを活用した実証事業」)を2021年12月1日から開始する。
※1:「健康二次被害」とは、外出を控え運動不足になったり、人との関わりが少なくなったりすると思わぬところで体や心の衰えが進み、病気の重症化やうつ、要介護状態などになりやすくなることを言う。
1.背景と目的
新型コロナウイルスの影響による高齢者の外出自粛により、高齢者における基礎疾患の悪化や認知機能の低下、及びメンタルヘルスの悪化などの健康二次被害が発生している。この要因として、社会参加の制限による生きがいの喪失や、それに伴う会話不足、及びICTリテラシーが低いことによるオンライン交流が困難であることがあげられる。
特に後期高齢者に多くみられる独居者、及びICTリテラシーが低いためオンラインでのコミュニケーションが取れない高齢者に対して、「誰一人取り残さない地域社会」を目指し、健康格差を縮小させるために、ICTが苦手な高齢者でも何の問題もなく使用できるICTツールを活用して、日常生活の中でオンライン技術を導入することで基礎疾患の悪化やメンタルヘルスの悪化、認知機能の低下などの抑制・予防が可能かどうかについて検証する。
2.経緯
筑波大学は、10年以上にわたって見附市とSmart Wellness City※2という概念でまちづくりを進めてきた。昨年度に同市を含む5自治体で行った住民調査では、コロナ禍での社会参加の場の制限により、生きがいのある生活ができない→会話が減少→メンタルヘルスが悪化→認知機能低下というルートで進むことを確認した。さらに、ICTツールを使用できる高齢者とそうでない者を比較すると、後者においてメンタルヘルスの悪化や認知機能の低下といった健康二次被害が顕著となることが明らかとなった。
一方、TWRと損保ジャパンは、ICTを活用した実証事業のフィージビリティ研究として、昨年10月に見附市内に住む高齢者世帯に対話ツールを2か月間使用してもらい、健康二次被害の予防効果について検証を行った。この対話ツールは、遠く離れた家族と画面越しに話すことができる機能を備えており、普段ICTツールを使っていない高齢者でも簡単に利用できるものである。結果として、週1日~毎日の利用があり、全参加者から「顔を見て話すと会話が弾んだ」、「顔を見て話すと安心できた」、及び「顔を見て話すと不安が和らいだ」といった感想が得られ、対話ツールの使用がコロナ禍でも会話の頻度を維持・増加させること、及び安心感を与えることがわかった。
以上のことから、「誰一人取り残さない社会」、及び健康格差の縮小を実現するためには、ICTリテラシーが低い高齢者でも使用可能なICTツールを利用することで、日常での会話やコミュニティへの参加を促す仕組みづくりや科学的エビデンスの蓄積が急務だと考え、ICTを活用した実証事業を計画するに至った。
※2:「Smart Wellness City」とは、とは、「ウエルネス(個々人が健康かつ生きがいを持ち、安心安全で豊かな生活を営むこと)」をまちづくりの中核に位置付け、住民が健康で元気に幸せに暮らせる新しい都市モデル
3.実証事業の概要と各社の役割
(1)概要
ICTを活用した実証事業は、見附市在住で、独居または夫婦世帯のみの65歳以上の高齢者(日常的にテレビ電話を使っていない方)200名と遠方に暮らすその家族を対象とし、2021年12月1日から1年間行う。自宅にICTツール(液晶ディスプレイ付スマートスピーカー)を設置するグループ100名には、遠方に暮らす家族と定期的に日常会話や食事時間を楽しんでもらうことで、基礎疾患の悪化やメンタルヘルスの悪化、認知機能の低下などの抑制・予防効果を検証する。また、ICTツールを用いずに普段通りの生活を行うグループ100名との比較検証を行う。
(2)各組織の役割
ICTを活用した実証事業に参加する組織の役割は、以下のとおりである。
■組織名・役割
・事業実施組織
筑波大学 介入研究実施、調査分析
TWR 介入研究実施、調査分析、各種サポート
損保ジャパン 介入研究における各種サポート
・事業協力自治体
新潟県見附市 実証事業フィールド提供
・事業協力組織
株式会社NTTドコモ 通信環境提供
株式会社プライムアシスタンス 実証事業参加者からの問い合わせ対応
株式会社第四北越銀行 現地における参加者募集
4.今後について
筑波大学、TWR、及び損保ジャパンは、ICTを活用した実証事業の結果を踏まえ、下記3点の取組みにつなげていく。
(1)Smart  Wellness  City推進のための政策パッケージ開発
(2)With&Afterコロナにおける孤独・低ICTリテラシーな高齢者のフレイル予防法の開発
(3)健康寿命の延伸と社会保障制度持続への具体的なまちづくり像の提示

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