東京海上ホールディングス、精確で痛みのないがん早期発見方法の確立を目指すCraif社との資本業務を提携
東京海上ホールディングスは、がんの早期発見・予防に関する社会課題解決に向けて、今般、株式会社Craif(以下「Craif社」)と資本業務提携を行った。
1.背景・狙い
厚生労働省が実施している人口動態統計月報によると、国内の死因別死亡率は1981年以降悪性新生物(がん)が第1位(令和2年統計において死因の27.6%を占める)であり、国民の生命と健康にとって大きな課題となっている。
医療の進歩などにより、がん患者の皆様の5年相対生存率は向上しているが、上記統計では、臨床病期I期での5年相対生存率が90%を超えるのに対して、Ⅳ期の5年相対生存率は40%を割り込む状況にある。がんを早期に発見し治療を開始することで、さらに生存率が向上することが期待されており、様々な企業等で、がんの早期発見技術が研究されている。
これまで東京海上グループは、保険の販売等を通じてがん患者の皆様の支えとなるために、様々な取り組みを行ってきましたが、がんの早期発見を通じた社会課題解決の取り組みを更に加速させていくために、多数のアカデミアとの共同研究やグローバルな学会における研究成果の発表などを行っているCraif社と資本業務提携することにした。
2.取り組み概要
同社とCraif社は、戦略的パートナーシップに基づき、以下に取り組む。
①がん検診の重要性やがんの早期発見ソリューションを、広くお客様に提供するスキームの構築
②上記のスキームを通じて収集するデータの蓄積・活用による新たなサービスや保険商品の開発の検討
同社はこれらの取り組みを通じ、「お客様の“いざ”を支える」だけではなく、がんを早期に発見し「お客様を“いつも”支える」ことで、安心・安全を提供するソリューションプロバイダーとして新たな価値提供を目指す。
3.Craif社の概要(https://www.craif.com/)
Craif社は、効率的にエクソソーム※1を回収し分析する自社の技術を活用し、少量の尿を使用した体に負担が少なく精度の高いがん検査技術を持つスタートアップ企業である。「人々が天寿を全うする社会の実現」というビジョンのもと、日本が誇る素材力を用いて尿からエクソソームを網羅的に捕捉しAI(人工知能)を組みあわせて医療に応用することで、尿中バイオマーカー探索プラットフォームを構築している。
「わずか数滴の尿から高精度でがんを早期発見する検査」の社会実装を目指している点が大きな特徴である。
(※1)エクソソームは、ほぼ全ての種類の細胞が分泌する小型(直径30~100nm程度)の膜小胞で、血液や尿、髄液、涙、唾液などの体液や細胞培養液中に数多く存在している。