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東京海上日動、「気候変動下における洪水リスク評価の高度化」に関する共同研究を開始

東京海上日動、東京海上ディーアール株式会社(以下「TdR」)および国立大学法人京都大学防災研究所(以下「京都大学防災研究所」)は、気候変動下における洪水リスク評価手法の開発と実用化に向けた共同研究を開始する。
本研究を通じて、企業および地域社会のレジリエンス向上と、気候変動緩和・適応策への貢献を進めていく。
■1.背景と目的
近年、豪雨による洪水が多発し、日本各地で甚大な被害が発生している。さらに、気候変動の影響により産業革命以前より世界の平均地上気温が4℃上昇した場合、21世紀末の日本の洪水発生頻度は、20世紀末と比較して約4倍に増加すると予測されている。国土面積の10%に相当する洪水氾濫域に、総人口の約50%、総資産の約75%が集中する日本においては、社会全体で気候変動による水災害の脅威を認識し、産官学連携による将来予測に基づく水災害対策の促進や実現に向けた取組が必要とされている。
国土交通省は、2020年に、気候変動の影響や社会状況の変化を踏まえ、河川の流域のあらゆる関係者(国、自治体、企業、住民)が協働して流域全体で行う治水対策「流域治水」※1への転換を打ち出した。この中で、流域の企業や事業者が経済活動や事業を継続する上で必要な真のリスク情報として、従来の避難目的のハザードマップだけでなく、降雨の頻度に応じた様々な規模の浸水ハザード・リスク情報の周知と共有が必要であるとされている。そして、2021年5月に公表された「水災害リスクを踏まえた防災まちづくりのガイドライン」※2では、地域ごとの水災害リスクを評価し、まちづくりの方向性を決定するため、水災害リスクごとの防災・減災対策によるリスク軽減の考え方や手法が示された。
東京海上日動では、これまで一部地域に於いて現在および気候変動下における確率論的浸水ハザード評価手法の考案・実装に取組んできたが、「流域治水」や「水災害リスクを踏まえた防災まちづくり」の観点で、全国の流域を対象とした企業の減災防災・投資促進に資するリスク評価手法の構築が急務と考えている。
このような背景のもと、東京海上日動・TdR・京都大学防災研究所の3者は、気候変動下における洪水リスク評価手法を開発するため、本研究を開始する。
■2.研究概要
東京海上日動・TdR・京都大学防災研究所は、京都大学防災研究所が開発を進めている「全国版RRIモデル※3」を用いて、以下の研究を進めていく。
※1
国土交通省社会資本整備審議会「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方」2020年7月
※2
国土交通省「水災害リスクを踏まえた防災まちづくりのガイドライン」2021年5月
※3
全国を14地域に分割し、集水面積1km2以上の河川の水位や流量を出力することが可能なモデル。
①気候変動下における洪水リスク評価手法の開発
②多段階リスク明示型の洪水リスク評価手法の開発
■3.今後の展開
東京海上日動・TdR・京都大学防災研究所の3者は、本研究成果に基づく洪水リスク情報を、企業や自治体などに広く提供することで、社会の災害レジリエンスの強化に努めていく。
東京海上日動では100以上の自治体と防災・減災等に関する包括連携協定を結んでおり、将来的には、自治体が本研究の成果を地域防災計画や総合的なインフラ整備等へ活用することを想定している。また、TdRが企業向けに提供している水災害リスクの評価・分析・対策立案等に関する各種コンサルティングや、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に沿った気候変動シナリオ分析の支援へ応用していくことによって、地域社会と企業のレジリエンス向上と気候変動緩和・適応戦略への貢献を進めていく。

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