東京海上日動、AI技術を活用した自動車事故の修理見積書点検の取組みのトライアルを開始
東京海上日動は、自動車事故の修理見積書の点検業務にAI技術を活用する取組みに関して、TractableLtd.(以下「Tractable社」)と提携し、2020年4月よりトライアルを開始する。
自動車の損傷画像等の情報をもとにAIを活用して修理見積書の内容を点検することで、自動車事故における迅速な保険金支払いに繋げていく。
1.背景
自動車事故による保険金支払いにおいては、修理工場等から提出された修理見積書の内容を保険会社のアジャスター(※)が確認し、損傷部位、修理方法、修理金額等の妥当性を保険会社と修理工場の双方で協議し、お客様に支払う損害保険金を決定する。
保険会社と修理工場との間で協議する場合、損害保険会社が支払う損害保険金が決定するまでに、2~3週間程度を要するケースが自動車事故全体の多くを占めている。
この度、同社はお客様により快適かつ迅速な保険金の支払い(事故対応サービス)を提供するために、修理見積書の内容をAIで点検する仕組みの導入を検討することとした。
※アジャスター・・・自動車の損害状況等を確認する保険会社の専任担当者
2.トライアルの概要
(1)概要
同社はAIを活用した画像認識技術に強みを持つTractable社と提携し、自動車の損傷画像等の情報と修理見積書等をもとに、AIを活用することで早期に内容を点検するトライアルを開始する。
(2)検証項目
①修理工場等から同社に提出された自動車の損傷画像をAIが認識し、パネルごとの損傷箇所や損傷の程度等を確認して、最適な修理方法や修理に要する時間を早期に算出できるかを検証する。
②上記の算出結果と修理の見積書を比較し、修理が必要な箇所や修理方法の妥当性をAIが判定できるか検証する。
(3)時期
2020年4月よりトライアルを開始する(終了時期は未定である)。
3.期待効果と今後の取組みについて
Tractable社のAI画像認識技術を導入することで、以下のような効果が期待できる。
●車両内部への損傷が及んでいるケース等を除けば、自動車の損傷画像と修理見積書を最短数分で点検することができ、問題の無い事案については、アジャスターの業務軽減、修理費用の早期確定および迅速な保険金の支払いに繋げることができる。
●AI画像認識により、損傷の程度や最適な修理方法を早期に検証することができるため、損傷画像と修理見積書から支払保険金を確定できるケースと、アジャスターによる立会が必要なケースを早期に分類することができる。
●車両を受け入れる修理工場にとっても、修理金額の確定までのプロセスがスムーズになることで、車両の所有者へ早期に納車することができ、新たな事故車を受け入れる回転率を高め、業務の効率化に繋げることができると考えている。
すでに、Tractable社が持つAIのモデルに、一億枚以上の事故画像データ等を学習させており、今後は数千万枚以上の損傷写真や事故受付情報等を活用して、一層の精度向上を目指す。また、トライアルの結果を踏まえて、実用化に向けた検討を進めていく。
同社はデジタル技術により効率化し創出した時間を活用して、「人による対応」と「デジタル技術」を融合させた、高品質な事故対応サービスを届ける。