東京海上ホールディングス、マングローブ植林プロジェクトによる生態系サービスの経済的価値の試算結果を発表
東京海上ホールディングスは、子会社である東京海上日動が、植林NGO(※)をパートナーとしてアジア・太平洋地域において行っているマングローブ植林プロジェクトについて、三菱総合研究所に調査を委託し、国際的に認められた方法論に従い評価したところ、過去20年(1999年4月から2019年3月末まで)の間に生み出された生態系サービスの価値が累計で約1,185億円に達しているとの試算結果を得た。
東京海上グループはこれからも、非政府・非営利団体をはじめとする社会の人々と連携し、グローバルにマングローブを基盤とした価値創出の取り組みを推進し、安心・安全でサステナブルな未来づくりに貢献していく。
(※)マングローブ植林行動計画、公益財団法人オイスカおよび特定非営利活動法人国際マングローブ生態系協会
1.背景・方法論
東京海上日動では、1999年からマングローブ植林活動を継続しており、2019年3月末までにアジア太平洋地域9ヵ国において10,930haの植林を実施し、国内の事業活動において2009年度から10年連続で「カーボン・ニュートラル」を達成している。
近年、専門家による生物多様性や生態系サービスなど「自然の恵み」の価値を評価する手法が進歩し、企業が社会価値創出プロジェクトの価値を評価する取り組みが注目されている。
そこで東京海上日動は、生態系と生物多様性に関する国際的イニシアティブを通じて開発された「ミレニアム生態系アセスメント」や「生態系と生物多様性の経済学(The Economicsof Ecosystemsand Biodiversity、TEEB)」などの方法論に従い、1999年4月から2019年3月末までの間に行ったマングローブ植林によって生み出された生態系サービスの価値を評価した。
*「カーボン・ニュートラル」とは、事業活動により生じるCO2排出量と、自然エネルギーの利用や排出権取得、マングローブ植林等によるCO2の吸収・固定効果の換算量が等しい状態を指す。
2.マングローブ植林プロジェクトによって生み出された価値の試算結果マングローブ植林によって生み出された価値を評価した試算結果は次のとおりである。
生態系サービス
[累計・価値]
①マングローブ生産物収穫量 約142億円
②サイト外の漁業生産性の支援 約355億円
③海岸線の安定化と浸食防止 約254億円
④極端な気象事象からの防護(被害軽減) 約126億円
⑤廃水処理、沈殿捕集および塩水侵入防止 約297億円
⑥炭素隔離(気候変動緩和) 約11億円
合 計 約1185億円
3.その他の様々な便益について
マングローブ植林によって、前述の定量的評価の他、地域の人々の暮らしの向上、災害被害の軽減、気候変動の緩和など地域やグローバル社会に様々な便益が生み出されている。
■地域の人々の暮らしの向上
植林した地域とその周辺に約141万人の人々が居住し、約14万人の人々が主たる収入や雇用の源としてマングローブ林から得られる水産資源に依存している。
また、マングローブ漁業に関連した漁業以外の生産活動で雇用されている約30万人、およびマングローブでの漁業に関連した漁具の制作、造船や保守等の仕事をされている約60万人に影響を与えた。
■災害被害の軽減
少なくとも約194万人の人々が、マングローブによって、暴風雨、高潮、浸食、塩水の浸入、水質汚染等から保護されている。
■気候変動の緩和
世界中の人々が、マングローブとその土壌が約125万トン/CO2eの二酸化炭素を蓄積することによる利益を享受している。
東京海上グループはこれからも、社会の人々とともに社員全員参加型で社会課題解決の取り組みを推進し、SDGsの達成にも貢献していく。
尚、東京海上グループのマングローブ植林等の取り組みについては以下のホームページを参照。
・サステナビリティレポート2019www.tokiomarinehd.com/sustainability/library/pdf/csr2019_web.pdf
・マングローブワールドwww.tokiomarine-nichido.co.jp/world/mangrove/
・「GreenGift」サイトwww.tokiomarine-nichido.co.jp/world/greengift/