損保協会、平成29年度、加盟26社の損保決算概況を発表
損保協会では、加盟26社の平成29年度決算概況を次のとおり取りまとめた。※平成28年度については、比較のためにAIUを含めている。
【1.保険引受の概況】
◆①正味収入保険料
正味収入保険料は、火災保険や自動車保険などの増収などにより、28年度に比べ0.9%(719億円)増加して8兆3,806億円となった。
◆②正味支払保険金、損害率
正味支払保険金は、国内自然災害による地震保険以外の火災保険の支払いの増加や、自動車保険の支払いの増加があった一方で、28年度の熊本地震による地震保険の支払いの反動減もあり、全種目合計では28年度に比べ△1.9%(△901億円)減少して4兆7,023億円となった。
正味収入保険料の増加と正味支払保険金および損害調査費の減少により、損害率は28年度に比べ△1.8ポイント低下して61.5%となった。
≪参考≫国内自然災害に係る正味発生保険金(注※)
〇平成29年度
正味発生保険金:2,347億円
・正味支払保険金:1,756億円
・未払保険金:591億円
〇平成28年度
正味発生保険金:1,756億円
・正味支払保険金:1,322億円
・未払保険金:434億円
(注※)各年度に発生した国内自然災害による全種目合計(家計地震保険を除く)の発生保険金額。
・正味発生保険金=正味支払保険金+未払保険金
・未払保険金とは、支払備金に繰り入れた金額。
◆③事業費、事業費率、コンバインド・レシオ
保険引受に係る営業費及び一般管理費は、28年度に比べ1.7%(214億円)増加して1兆2,807億円となった。
諸手数料及び集金費は、28年度に比べ2.2%(311億円)増加して1兆4,544億円となった。
これらの増加により、事業費率は28年度に比べ0.3ポイント上昇して32.6%となった。
損害率と事業費率を合計したコンバインド・レシオは、28年度に比べ△1.5ポイント低下して94.1%となった。
◆④保険引受利益
以上の増減益要因のほか、29年8月から9月にかけて北米で発生したハリケーン等の自然災害に係る支払備金繰入額の増加や、地震保険の保険金支払いの減少にともなう責任準備金戻入額の減少などの影響により、保険引受利益は、28年度に比べ△17.7%(△603億円)減少して2,798億円となった。
【2.資産運用の概況】
資産運用収益は、有価証券売却益などの増加などにより、28年度に比べ13.8%(912億円)増益の7,543億円となった。
資産運用費用は、有価証券評価損の増加などにより、28年度に比べ60.9%(580億円)増加して1,532億円となった。
資産運用収益から資産運用費用を差し引いた資産運用粗利益は、28年度に比べ5.8%(332億円)増益の6,010億円となった。
【3.経常利益・当期純利益】
経常利益は、保険引受利益の減益により、28年度に比べ△3.7%(△312億円)減益の8,122億円となった。
経常利益に特別損益や法人税等合計を加減算した当期純利益は、特別利益の増加などにより、28年度に比べ10.4%(639億円)増益の6,783億円となった。
【4.総資産】
総資産は、28年度末に比べ1.8%(5,736億円)増加して32兆3,144億円となった。
【5.ソルベンシー・マージン比率】
ソルベンシー・マージン比率は、協会加盟会社全社とも法律で求める水準を超えており、経営の健全性について問題ない水準となっている。