東京海上日動、【国内初】カーボンクレジットの購入企業向け専用保険開発
東京海上日動は、企業の自主的なカーボンクレジット取引について、危機管理コンサルティング費用や企業価値毀損に発展しうるリスクの調査費用を補償するカーボンクレジットの購入企業向け専用保険(「以下、「カーボンクレジット・レピュテーション費用保険」)を開発した。
1.背景
近年、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けた政策や社会制度の導入・検討が進んでおり、日本政府が2026年度からGHG※排出量が一定規模以上の企業を対象に排出量取引制度「GX-ETS」(GXリーグにおける自主的な排出量取引制度)への参加を義務づける方針を示す等、企業のGHG排出量削減の取組みが一層拡大することが見込まれている。
こうした中で、企業のGHG排出量の埋め合わせ(オフセット)手段のひとつとして、脱炭素活動により得られたGHGの排出削減・吸収量を環境価値として取引可能な形とした、カーボンクレジットが注目を集めており、民間主導のカーボンクレジットの市場規模は、2030年度に世界全体で500億ドルに達するとの予想もある。
一方で、カーボンクレジットによるGHG排出量のオフセットについては、その開示情報が外部から厳しく監視・評価されるようになりつつあり、排出量削減効果の正確性・虚偽を疑われる等のグリーンウォッシング批判に晒されるリスクを抱えている。
カーボンクレジットの購入企業は、グリーンウォッシング批判に晒されると、その真偽を問わず、企業価値毀損につながる可能性があるため、迅速かつ的確に対策を講じる必要がある。
同社は、企業が購入したカーボンクレジットの対象プロジェクト(カーボンクレジットを創出する事業)について、企業がグリーンウォッシング批判を受けた際に、企業に必要となる対策費用等を補償する保険(カーボンクレジット・レピュテーション費用保険)を国内で初めて開発した。
(※)GHG(Green house Gas):温室効果ガス
2.商品概要
日本国内において、以下の対象事由が公になった場合に、カーボンクレジット購入企業が企業価値の毀損を防ぐために対策を講じる費用等を補償する。
【対象事由】
被保険者が購入したカーボンクレジットの対象プロジェクト(カーボンクレジットを創出する事業)に対するグリーンウォッシング批判の発生に伴い、被保険者が批判を受けること等。
【対象となる費用】
企業として対策を講じるために必要となる危機管理コンサルティング費用や弁護士相談費用、マスメディアやネット投稿への対応として必要な報道状況分析費用やネット投稿削除費用、事実関係の公表・説明を目的とした危機対策本部設置や緊急会見・社告費用等、被害の収束に向けて支出した費用に対して保険金を支払う。
また、対象事由が発生した際は、必要な対策についてのコンサルティング(危機管理コンサルティング)を行い、実際の対策実施までサポートする。
※これらのサービスの提供には、デロイトトーマツグループのコンサルティング会社等の起用を予定しているが、被保険者が当該グループの監査法人の監査先である場合は、別の会社を起用する。
3.今後について
同社は、カーボンクレジットによるオフセット取引市場の成長を支える保険商品・サービスの開発を通じて、カーボンニュートラルの実現・脱炭素社会への移行に一層貢献していく。