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損保ジャパン、理化学研究所を「自動車事故リスク予測AIモデル」を開発

損保ジャパンと理化学研究所(以下「理研」)革新知能統合研究センター(以下「AIP」)は、交通事故予測のための共同研究の成果として、「Trajectory Mining※1を利用した自動車事故リスク予測モデル」を開発した。開発した事故リスク予測モデルは、通信機能付きドライブレコーダーを活用した安全運転支援サービス「Driving!」の運転診断機能として利用し、2021年9月からサービスを提供している。
※1:走行データをはじめとする、移動体の軌跡データを扱うための分析手法である。
1.背景・目的
損保ジャパンは、交通事故削減のため、自動車保険の特約として2015年からドライブレコーダーを用いた安全運転支援サービス「スマイリングロード」(法人向け)や「Driving!」(個人向け)、スマートフォンアプリ「ポータブルスマイリングロード」を順次提供してきた。さらに、これらのサービスから収集した大量の走行データを活用して、ドライバーの皆さまの安全運転に資するさまざまなサービスを開発・提供している。また、理研 AIP と2018年3月から共同研究を開始し、これまでに複数の AI 関連の国際会議で研究成果を発表するとともに、それらの成果を活用した安全運転支援サービスの新機能開発を進めてきた。
2021年9月には、損保ジャパンが個人向けに提供している「Driving!」のドライブレコーダーを新端末にリニューアルした。端末機能のさらなる活用、事故時における“つながる”安心のさらなる向上のため、ドライブレコーダーと Wi-Fi でつながる専用スマートフォンアプリを無料で提供し、従来のドライブレコーダーにはない、新たな体験をドライバーに提供している。
専用スマートフォンアプリの機能の一つとして、今回、理研 AIP と共同開発した「Trajectory Miningを利用した自動車事故リスク予測モデル」(以下「当該モデル」)を活用し、毎回の運転終了後に、ドライバー自身の運転の振り返りや運転能力の維持・向上を図ることができる運転診断を行う。運転ごとに当該モデルに基づいて算出された運転スコアをドライバー自ら確認できるようになり、これまで意識してこなかった運転の特徴や要注意ポイントを把握することを通じて、ドライバーの運転スキルや安全運転意識の向上および事故のない社会の実現に貢献していく。
2.当該モデルの概要
当該モデルは、理研 AIP 目的指向基盤技術研究グループ データ駆動型生物医科学チームとの共同研究により開発した。ドライブレコーダーから収集される位置情報・速度・加速度等の走行データを対象に、「系列マイニング手法※2」の一つである「Safe PatternPruning(SPP)※3」を「Trajectory Mining」の枠組みに適用して、ドライバーの運転行動から事故リスクに関連するパターンを抽出し、事故の有無を精度良く分類する事故リスク推定モデルを開発した。一般的な事故リスク推定モデルは、複数回・長期間の走行データを活用するが、当該モデルでは、1回あたりの走行データのみからドライバーの事故リスクを推定することが可能である。今般、当該モデルを「Driving!」に実装したことで、毎回の走行終了後に、事故リスクをドライバーにタイムリーにフィードバックすることで、運転行動の改善・事故の未然防止に寄与することを目指す。
※2:系列マイニングでは、運転行動を、位置情報・速度・加速度等を離散化した多次元のシンボル系列として表現し、シンボルの部分系列をパターンとみなす。
※3:パターン数は長さ・次元数に応じて指数的に増加するため、パターン間の木構造を考え、パターン頻度の単調非増加性を利用して頻出パターンを列挙する。SPP では、木構造に対し最適保証のあるセーフ枝刈りルールを適用し、最適解において零となる特徴パラメータを訓練集合から除去することでデータのサイズを小さくできるため、事故リスク推定モデルの効率的な最適化が可能となる。
3.今後について
損保ジャパンと理研AIPは、引き続き、社会課題を起点に機械学習技術の発展と社会実装に貢献するため、先端情報科学に関する共同研究開発を進めていく。また、損保ジャパンは、「”安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」という「SOMPOのパーパス」実現に向けて、安全運転に資する革新的な技術を搭載したサービスの提供を目指し、事故のない社会の実現に貢献していく。

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