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東京海上ホールディングス、「東京海上グループAIガバナンスに関する基本方針」を制定

東京海上ホールディングスは、セキュリティや品質、倫理面を考慮した社内規定に則って業務効率化やビジネスモデル高度化のためにAIを活用してきた。
この度、AIの利活用を更に促進し、新たなリスクへの対応や社会課題の解決を加速させるため、AI利活用に関する基本的な考え方や必要な態勢を「東京海上グループAIガバナンスに関する基本方針」(以下「本方針」)として策定し、本方針の骨子である「AI利活用に関する価値観・基本的な考え方」を公表する。
同社は本方針を25年4月より海外を含むグループ会社に展開しており、グループとして一層のAI利活用を進めていく。
1.本方針制定の背景
世界各国でAIの利活用が急速に拡大する一方で、AIが誤った回答や差別的な回答を行う等、AIが個人や社会に不利益をもたらす懸念も高まっている。
このようなリスクを踏まえ、欧米を中心に罰則を伴うAI法規制の検討が進んでおり、日本では2024年4月に経済産業省・総務省より「AI事業者ガイドライン*1」が公表された。同ガイドラインでは、企業に対し、AIのリスクに適切に向き合い自主的に対応することを求めている。
また、2025年3月に金融庁より公表された「AIディスカッションペーパー(第1.0版)*2」においては「金融機関等がAIの利活用に伴うリスクを特定・評価したうえで適切に対処し、新たな金融サービスの創出や業務効率化を積極的に実現していくこと」が期待されている。
東京海上グループにおいては、「お客様や社会の“いざ”をお守りする」というパーパスを実現するため、AIを最大限活用して、保険・ソリューション事業における新たなリスクの検知や評価、またリスク低減等の取り組みを高度化させていく必要があると考えている。
こうした背景を踏まえて、今般、同社グループとしてAI利活用に関する基本的な考え方や必要な態勢を「東京海上グループAIガバナンスに関する基本方針」として定めた。
*1  2024 年4月19日 経済産業省ニュースリリース
(https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240419004/20240419004.html)
*2  2025 年3月4日 金融庁ニュースリリース
(https://www.fsa.go.jp/news/r6/sonota/20250304/aidp.html)
2.本方針の概要と基本的な考え方
本方針は、国内外の東京海上グループ会社のAI利活用に関する共通の価値観を基に、制定の目的や、グループ会社の経営管理に関する基本方針等との関係、AI関連用語の定義、整備が必要となるAIガバナンス態勢、同社とその経営管理対象子会社の役割等を定めた。
本方針の骨子である「AI利活用に関する価値観・基本的な考え方」について、以下の通り公表する。
【東京海上グループとしてのAI利活用に関する価値観・基本的な考え方】
(1)東京海上グループは、AI利活用にあたっての透明性と説明責任の重要性を認識し、ステークホルダーにAIの導入目的を明示し、対話を通じてその導入効果等を検討し改善を継続する。
(2)東京海上グループは、AIの導入・利活用にあたっては、適切に人間が介在するものとし、最終的な人間の判断を尊重する。
(3)東京海上グループは、AI利活用においてバイアスを排除するため、特定の信条、性別および人種等の集団に偏りのある、又は偏りを生じさせるおそれのあるデータやアルゴリズムその他の技術を利用しないよう配慮する。
(4)東京海上グループは、基本的人権や人間の尊厳、個人の自律を含む権利・利益の侵害につながるAIの利活用、偽情報・偏向情報等の発信やそれらをもとにした意思決定、機密情報・個人情報の漏えいもしくは改ざんならびに不正利用を防ぐ。
(5)東京海上グループは、中断なく継続的に利用または提供できるAIにかかるシステムやプロセスを構築・運用する。
3.今後の展望
同社は、海外を含むグループ会社に本方針を展開することで、AI利活用に関する基本的な考え方を明確化し、グループの実効性あるガバナンス実践に向けた態勢強化を進めていく。
リスクを適切に管理しながらグループ社員の積極的な利活用を促し、AIによる便益を最大化して社会に還元することで、同社グループとしての非連続な成長を実現していく。

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