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損保ジャパン、リコーとマルチモーダルLLMの共同開発を開始

損保ジャパンと、株式会社リコー(以下「リコー」)は、損保ジャパンの保険業務に適したプライベートなマルチモーダル大規模言語モデル※1(以下「LMM」)の共同開発を開始した。本共同開発は、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する、国内における生成AIの開発力強化を目的としたプロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)※2」において実施している。
1.背景
LMMは、テキスト・画像・音声・動画など複数の形式のデータを一度に処理できるAI技術である。テキスト情報のスクリーンショットから内容を要約する、図を用いた質問に適切に回答するなど、さまざまな形式のデータを効率的に処理する適応性に期待が集まっている。
リコーは、GENIACにおいて、日本企業が活用できるLMMの開発に取り組んでいる。企業内に存在するテキスト、図、表組み、画像などさまざまな形式のデータで構成されている文書や帳票を、効率的に活用することで、イノベーション創出の後押しをすることを目指している。
また、損保ジャパンは、保険業務に関する規定、マニュアル、Q&Aデータなどを学習させ、社内外からの照会内容に対して最適な回答案を自動生成するシステム「おしそんLLM」をトライアル運用中である。対象となる資料の中には、複雑な図表が多数含まれる。日本の文書や帳票は、独自のフォーマットを持つものも多く、既存のLLMでは精度の高い回答が得られないケースもあり、データを根拠とする回答生成の精度が課題となっている。
2.共同開発について
損保ジャパンとリコーは、損保ジャパンが保有する保険の引受規定が記載された図表などを含むマニュアルを学習させた、損保ジャパンの保険業務に適したプライベートLMMを共同開発する。実際のデータとユースケースをベースにすることで、照会対応業務のさらなる時間削減を目指す。共同でモデルを開発した後、性能検証を実施する予定である。今後は、対象とするデータ・ユースケースを広げつつ、モデルを発展させていくことを検討している。
実施期間:2024年12月~2025年4月
両社の役割:
損保ジャパン
損保ジャパンが保有するデータの提供とリコーが開発したLMMの評価・検証
リコー
損保ジャパンが提供するデータを学習させたプライベートLMMの開発
3.今後について
リコーと損保ジャパンは、最先端のテクノロジーを活用し、働く人の生産性向上を実現するとともに、創出された時間を創造力の発揮につなげ、新たな価値創出ができる働き方を目指す。さらに、日本の業務・ドキュメント形式にも対応した国産LMMを共同開発することで、AIがすべてを理解する世界の実現に向け取り組んでいく。
※1 テキストや画像、動画など、複数種類の情報を処理できるAIモデルをいう。
※2 リコーは、NEDOが、2024年7月に実施した公募「ポスト5G情報通信システムの開発/競争力ある生成AI基盤モデルの開発(助成)」(以下、「本事業」)に採択された。本事業では、主に生成AIのコア技術である基盤モデルの開発に対する計算資源の提供や、データやAIの利活用に向けた実証調査の支援等が行われる。

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