あいおいニッセイ同和損保、保険商品の販売に関わる募集文書の審査・点検業務に生成AIを活用
あいおいニッセイ同和損保は、株式会社野村総合研究所(以下、NRI)とともに、保険商品の販売に関わる募集文書(以下、保険募集文書)を生成AIが点検するツールを開発し、12月から運用を開始する。本ツールの運用により、真のお客さま本位の業務運営を実現していく。
1.背景
保険商品の販売や勧誘を行う際に使用するパンフレットなどの保険募集文書は、お客さまが適切な判断を行うための重要な資料である。そのため、同社では法規制やルール・規定に基づいた記載はもとより、誤解を招く表現がない、わかりやすい文書とするため、専門の審査部門が審査を行っている。
同社では汎用的な保険募集文書以外にも、企業や団体などお客さまのニーズに沿った提案を行うため、提案先に応じて営業部支店が独自に作成するケースもあり、そのような場合も審査部門が審査を行っている。営業部支店が独自に作成する保険募集文書の大半は、募集期間が定められているため、お客さまが商品内容を理解し、必要な補償内容を十分に検討するためには、少しでも早く保険募集文書をお届けすることが求められる。
一方、審査部門では複数の担当者による目視での審査を行っており、営業部支店などの文書作成部署と審査部門との間で文書校正に多くのやり取りが発生するため、審査完了まで多くの時間を要している。
そこで、審査期間の短縮によるお客さまの十分な検討時間確保と、業務効率化によるお客さまへ向き合う時間の創出に向け、生成AIを活用した保険募集文書の点検ツールを開発した。
2.概要
(1)機能
同社が定める保険募集文書の点検項目を生成AIが自動で点検し、不備の指摘と適切な表現を表示する。作成・点検の効率化により、年間約8,000件申請される保険募集文書の初期点検業務にかかる時間を半分に圧縮し、約4,000時間分の効率化につながる。
(2)特長
生成AIの知見を持つNRIの未来研究室※1と、AWS(AmazonWebService)が提供する最新の生成AIであるClaude3.5Sonnet※2を活用した実証実験を重ねることで、以下を実現した。
①保険特有の表現をチェック
②作成・審査部門双方で活用
③生成AI技術の精緻化
※1 保険会社の新商品・サービス開発に向け、調査・コンセプト構想からプロト開発までの共創活動を行う組織。生成AIの保険事業での活用に向けた研究開発を行う
※2 コードなどの新しい業界ベンチマークを達成しており、Anthropicによると、ほぼすべてのベンチマークで他の生成AIを上回るパフォーマンスを発揮している生成AI
3.今後の展開
同社は、保険募集文書点検・審査業務に留まらず、商品・事務領域などにも生成AIの活用範囲を拡大していくことで、さらなる業務効率化を通じた活動時間創出により、お客さまに寄り添った取り組みを進めていく。