損保ジャパン、ネイチャーポジティブ・生物多様性に関する取組みの加速
損保ジャパンは、自然関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TNFD」)提言に基づいて実施した同社 グループの開示において、事業活動を通じた、生物多様性・自然資本への依存と影響、リスクと機会について分析し、このほど公表した。OECM(保護区以外の生物多様性に資する地域)の普及促進に取り組む「OECM100か所プロジェクト」をはじめとする以下の取組みを通じて、ネイチャーポジティブ実現に向けて努めていく。
1.背景と目的
気候変動と不可分一体かつ喫緊の社会課題として、生物多様性の損失が注目されており、これに対応するためのネイチャーポジティブ(生物多様性・自然資本の再興)に注目が集まっている。また、自然災害の頻発化・激甚化が深刻な課題となる中、生態系を活用した防災減災(以下、「Eco-DRR」)等、自然の力を活用した課題解決が災害に対する地域のレジリエンスを高めるための手段としても注目を集めている。以上の背景を踏まえ、SOMPOのパーパスに基づきネイチャーポジティブの各取組みをさらに加速する。
2.取組内容
(1)TNFD開示
SOMPOグループとして初のTNFD開示をサステナビリティレポート2024(※1)で本年8月に行った。主要事業である国内損害保険事業(損保ジャパン)およびコンサルティング事業(SOMPOリスクマネジメント)を対象に、TNFDが推奨するLEAPアプローチ(※2)に基づき、自然関連の課題について評価や分析を進めている。
開示にあたっては、SOMPOリスクマネジメントが評価・分析をした。順次、開示範囲を海外保険事業等に広げていくとともに、これらの開示ノウハウを外部に向けて活用し、TNFD開示支援サービスを展開、企業のTNFD開示を支援していく。
(2)OECM100か所プロジェクト
2030年までに陸域・海域をそれぞれ30%以上保全する「30by30」(サーティバイサーティ)は、G7をはじめグローバルで合意された目標であり、わが国の生物多様性国家戦略にも盛り込まれている。
損保ジャパンでは、「30by30」達成に寄与するOECMがEco-DRRにも寄与することから、「OECM100か所プロジェクト」としてその普及に取り組んでいる。自社グループのみならず、企業や自治体が所有管理する緑地・森林・沿岸域のOECM登録の推進や申請を支援するプロジェクトを実施している。
(3)SAVE JAPANプロジェクト(※3)を通じたOECM登録支援
損保ジャパンは、全国各地のNPOや市民社会とともに、SAVE JAPANプロジェクトにより生物多様性の保全に取り組んでいる。
2023年度はEco-DRRの浸透・促進や、「OECM100か所プロジェクト」の一環としてOECMの推進に寄与する自然共生サイト(※4)への申請プロセスを支援している。この自然共生サイトへの申請支援により、令和6年度前期の自然共生サイトにおいて2つの地域が認定された。
2024年度は16のプロジェクトの支援を決定した。地域の環境NPOや市民活動を中心とした生物多様性保全の取組みによる自然共生サイトの認定も視野に入れて、人や生き物が住みやすい環境づくりにつなげていく。
(4)生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)への参画
損保ジャパンは、経団連自然保護協議会によるミッション団(24社46名)とともにCOP16(コロンビア、カリ)に参画した。国連を含む最新の政策決定を担うキーパーソンと意見交換すると同時に、科学と政策の連携強化を目指すScience Policy Forumにおいて、地域のクロスセクター協働のハブとして取り組むOECM100ヶ所プロジェクトの展開や、NCCC(ナチュラル・キャピタル・クレジット・コンソーシアム、代表理事:九州大学馬奈木俊介教授)と連携した炭素クレジット、また企業のサプライチェーンリスクの可視化の取組みについて発信した。
3.今後について
損保ジャパンは、世界がネイチャーポジティブの実現に向け動き出している中、リスクマネジメントの専門家としての知見や、国内のネットワーク等を活用し、地域の協働のコアとなりながら上記の取組みを加速させ、社会課題の解決に貢献していく。
※1 サステナビリティレポート2024
※2 TNFDのLEAPアプローチ、The LEAP approach
※3 SAVE JAPANプロジェクト
※4 令和6年度前期「自然共生サイト」認定結果について