東京海上日動、食品の規格外品発生時の二次流通費用を補償する「食品ロス削減推進特約」の販売開始
東京海上日動は、社会課題となっている食品ロスを減らすために、運送保険の新特約として「食品ロス削減推進特約」開発し、10月1日から販売を開始する。
本特約の提供を通じて、食品の二次流通を促進させることで食品ロスを削減するとともに、サーキュラーエコノミーや持続可能な社会の実現に貢献していく。
1.背景
日本では2019年に「食品ロスの削減の推進に関する法律」を施行され、食品ロス削減に向けた取り組みの強化が進められている。一方で、現在でも年間約472万トンの食品が廃棄されており、その約半分が飲食店、スーパー、食品製造業などの事業者から生じている。食品ロスは、賞味期限切れや保管中・加工中・輸送中での物損等といった様々な要因により発生しているが、二次流通のサプライチェーンが確立されておらず、食品廃棄による環境負荷や食品事業者の経済的損失が発生していた。
同社は2023年度より、大阪において地方自治体等と食品ロス削減に向けて「大阪食品ロス削減コンソーシアム」を立ち上げ地域実証実験を行うとともに、事業系食品ロスの発生データの収集等を進めてきた。そして今般、食品の二次流通にかかる物流費用等を補償対象とするとともに、提携する食品リサイクル事業者を紹介する「食品ロス削減推進特約」を運送保険の特約として新たに開発した。
本特約は一般財団法人食品産業センター※1(以下、食品産業センター)と連携し、同センター会員に向けた団体保険制度において提供を開始する。同社ではこれまで食品ロスの廃棄費用を補償してきたが、本特約により二次流通費用や食品リサイクル事業者とのマッチングサービスを提供することで食品の廃棄を減らし、社会的コストの削減、ひいては持続的な社会の実現に貢献していく。
※1 食品産業界の連携強化を通じた業界共通の課題解決を図る目的に、昭和45年に設立された国内唯一の食品産業の業種横断的全国団体。主に、食品産業界の調整役・推進役として、行政と業界の橋渡し役を担う。会員には食品産業界、関連業界を網羅する約120団体、大手食品企業約130社など
2.「食品ロス削減推進特約」の概要
本特約は食品産業センター会員が加入可能な運送保険の団体保険制度に付帯できる。
これまで事故が発生した際には、積載していた商品の販売価格を補償していたが、二次商流の利用によって損害額の減少が見込まれることから、現行の保険料で本特約を付帯することが可能となった。
本特約の主な特長は以下のとおりである。
特長①:二次商流利用に要した物流費用および貨物損害の補償
保管中・加工中・輸送中の事故、落下等による梱包・化粧箱の外装損傷などにより、商品ロットの一部に損害が生じた際に、品質上の問題がない食品を廃棄ではなく再販や寄付の二次商流を手配することで生じた「(A)二次流通費用」、「(B)二次商流への転売益を差し引いた貨物損害」を補償する。
<対象となる事故例:輸送中の事故による商品の一部損害>
輸送中の事故により商品ロットの一部に損害が生じ、納品先から受け取りを拒否された。品質上の問題がない商品について、こども食堂への寄付を実施した。
(A)費用損害:こども食堂への寄付に要した物流費用
(B)商品損害:「積載していた商品の販売価格」-「こども食堂への転売益」
特長②:同社が提携する食品リサイクル企業等とのマッチング
食品ロス発生時に、商品種類・残賞味期限などに応じて、同社が事業提携する物流事業者、食品リサイクル事業者、こども食堂等との最適なマッチングを実施することで食品の再販や寄付の円滑な手続きをサポートする。
3.今後について
同社は食品産業センターとともに「食品ロス削減推進特約」の提供を通じて、より多くの企業の食品ロス削減に向けた取り組みを支援することでお客様のレジリエンスの向上とサーキュラーエコノミーや持続可能な社会の実現に貢献する。