損保協会、城田宏明協会長ステートメントを発表
Tag:損保協会協会長ステートメント
損保協会は9月19日、城田宏明協会長ステートメントを発表した。
1.はじめに
「本年7月の大雨、日向灘を震源とする地震、台風第10号等、日本各地で自然災害が相次いでおります。これらの自然災害によりお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
損害保険業界といたしましては、被災された方々が一日も早く平穏な日常生活を取り戻せるよう、継続契約の手続きや保険料のお支払いを猶予する特別措置の対応を行うとともに、引き続き迅速かつ適正な保険金のお支払いに尽力してまいります。
本年5月以降、一部の会員会社において確認されている情報漏えい事案につきまして、お客さまをはじめ関係者の皆さまに大変なご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、改めて深くお詫び申し上げます。
昨年来、当協会は保険金不正請求事案や保険料調整行為事案といった不適切事案を二度と起こすことがないよう、法令等遵守の徹底をはじめ、信頼回復の取組みを進めてまいりました。会員各社においては、当協会策定のガイドラインなどを活用しつつ自社の業務運営の見直しを進めておりますが、一部の会員会社において保険会社と乗合代理店間のメール連絡による個人情報の漏えいが発生していたことが確認され、その後、保険会社から保険代理店への出向者が、出向先内の他保険会社の契約情報などを出向元に流出させていたことも確認されました。これらの情報漏えい事案については、金融庁から報告徴求命令を受けた会員会社が、事実関係、お客さまへの対応方針、真因、再発防止策等について、本年8月末に金融庁に報告を行っております。当協会といたしましても、事案を大変重く受け止め、会員会社に対して、情報漏えいの実態調査や再発防止の徹底を要請したところです。
本事案の真因は、個人情報保護法をはじめとする各種法令に対する認識不足と教育の不徹底、業界特有の他社との接点や情報共有に伴うリスク感覚の鈍化、業務実態や内在するリスクに対する不十分な管理態勢、営業数字やマーケットシェアに偏重した営業活動等にあると考えております。
会員各社における再発防止の徹底はもとより、業界全体の「法令等遵守」「お客さま本位の業務運営」の徹底と旧来の業界慣行の根本的な見直しを、今後より一層進めてまいります。」
2.具体的な取組み(主な項目)
(1)信頼回復に向けた取組み
①健全な競争環境の実現
ア.政策保有株式に係るガイドラインの策定
イ.損害保険会社からの出向者派遣に係るガイドラインの策定
ウ.募集コンプライアンスガイド追補版の策定
②保険代理店・募集人の業務品質の向上
ア.代理店業務品質評価基準と運用体制の検討
イ.「代理店手数料ポイント制度に関する基本的な考え方」に対する共通認識の醸成
③企業向け保険やリスクマネジメントの理解浸透
④不正請求への対策強化
ア.修理工場向け写真撮影手引の作成
イ.業界内の内部通報制度の改定
(2)第10次中期基本計画に関する取組み
①自然災害への対応力強化
ア.地震保険の理解と加入促進
イ.災害に便乗する悪質業者に関するトラブル防止対策
②デジタル化推進による利便性向上
③損害保険リテラシーの向上
ア.損害保険の普及・啓発
イ.生命保険業界との連携強化
④各種課題への取組み
ア.軽消防自動車、高規格救急自動車の寄贈
イ.自賠責保険の経費の計算方法等に関する第三者委員会
ウ.令和7年度税制改正要望
エ.国際基準への適切な対応
オ.新興国市場への各種支援
3.おわりに
「会長に就任してから、信頼回復に向けた数々の業界課題に対し、会員各社とともに強い危機意識を持って全力で取り組んでまいりました。
この歩みの中で確認された情報漏えい事案に対して、真摯に向き合い、正すべきことを正さなければならないのは自明であり、さらに会員各社が「社会の常識とズレは生じていないか」を繰り返し確認し、自ら問題点を洗い出して業務運営の見直しを行うことが重要です。
こうした課題認識を踏まえ、当協会としても、会員各社としても「法令等遵守」「お客さま本位の業務運営」の徹底と旧来の業界慣行を根本から見直すことを最優先事項として取り組んでいく運営方針について、本日開催の理事会において改めて確認いたしました。
お客さまからの信頼回復に向けて、当協会としての役割を果たしていくため、会員各社とともに一つひとつの課題を着実に前進させてまいります。会長としても、引き続き多様な声に真摯に向き合いながら、責務を全うしてまいる所存です。
皆さまにおかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。」