三井住友海上、MS&ADインターリスク総研、青果物の輸送リスク低減に向けた実証事業を開始
三井住友海上とMS&ADインターリスク総研は、農林水産省から「令和5年度品目団体※1等と連携した輸送リスク管理推進緊急実証委託事業」を受託した。
両社は、本事業を通じて、青果物の輸送リスクを分析し、その分析データを活用することで、青果物輸出における輸送品質の向上を実現するとともに、日本の農林水産物・食品の輸出拡大に貢献していく。
※1:輸出重点品目ごとに、生産から販売に至る関係者が連携し、輸出の促進を図る法人を国が農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律(令和元年法律第57号)に基づき認定した団体のことを指しており、青果物では一般社団法人日本青果物輸出促進協議会が農林水産大臣の認定を受けている。
1.背景
政府は、農林水産物・食品の輸出額を2025年までに2兆円、2030年までに5兆円に拡大することを目指し、官民一体となった輸出促進の取組み※2を進めている。国内消費の減少が見込まれる中で、農林水産業・農山漁村の持続性を確保し、生産基盤を維持していくためには、今後も成長が期待される海外市場を拡大していくことが重要である。
一方で、農林水産物・食品の輸出は、輸送形態や時間等が国内輸送と異なることから、腐敗・品質劣化、温度変化等による損害等のリスクを抱えており、今後の輸出拡大を見据えたリスク低減が喫緊の課題となっている。
※2:農林水産省「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の進捗」
2.事業の全体像
(1)概要
本事業では、「輸出食品専用保険※3」に加入した青果物の輸出事業者から、輸送中の腐敗や品質劣化等の事故情報を収集し、温度や湿度の変化等を記録する計測機器を活用して損害の発生要因を分析する。
また、包材・鮮度保持技術等の効果測定など、輸送リスクを低減する取組みの有効性を検証する。
※3:腐敗・品質劣化損害や温度変化損害を含めて、輸出食品に生じる損害を包括的に補償する「輸出食品専用保険」。
(2)役割
三井住友海上:輸出食品専用保険の提供、事故情報・事故データの収集 等
MS&ADインターリスク総研:本事業の全体統括、事故データ等の評価・分析、手引書の作成、実証結果の取りまとめ 等
3.今後の展開
本事業で得られる青果物の輸送リスクの分析データを活用し、リスク低減に寄与する輸送方法の提案やリスクに見合った保険料率の設定、補償内容の拡充を目指していく。