損保協会、協会長ステートメントを発表
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損保協会の新納啓介協会長氏は就任以来1年間進めてきた主な取組みについて発表した。この1年間で進めてきた取組みのうち、主なものについて報告している。
1.信頼回復に向けた対応
1)保険料調整行為
2)旧ビッグモーター社による保険金不正請求
3)業務抜本改革推進PTでの取組み
4)個人情報保護に係る取組み
2.能登半島地震、および今後の大規模地震への対応
1)能登半島地震への対応
2)今後の大規模地震に向けた対応
■就任時に掲げた重点取組み(一部抜粋)
信頼回復や能登半島地震への対応に取り組むと同時に、協会長就任時に掲げた重点取組みについても完遂することができた。
これらの活動に際しては、「地域における発信」や「デジタル媒体を通じた発信」を進めることで、発信力の強化に取り組んできた。
まず、「地域における発信」については、対処すべき「悩み事」は地域毎に大きく異なっているため、当協会各支部が中心となり、地域の実情を踏まえた情報発信を行ってきた。例えば、東日本大震災を経験した東北地方では、教訓を次世代に伝承することが課題となっていることから、子育て世代に焦点を当てた災害教訓継承動画をYouTubeチャンネル上で公開し、情報発信を行った。
また、私自身、当協会の「地域の顔」である全国の10支部を全て訪問し、自治体、都道府県警察、代理店、マスコミ等の皆様にお会いして、当業界の現状や取組みをお伝えするとともに、地域での啓発イベントにも参加し、自然災害に対する保険による備えや、防災・減災の重要性について話した。
さらに、各支部の取組みを「支部ステートメント」としてまとめ、地域の行政や警察、代理店、マスコミの皆様へ説明を行い、地域における当協会の取組みについての理解向上を図った。
次に、全国共通の課題については、一人でも多くの方に情報を届けることを目指して、「デジタル媒体を通じた発信」に力を入れてきた。具体的には、9月にYouTubeチャンネルを刷新し、動画視聴に係る導線の整理やデザインの刷新、動画のカテゴリーごとの分類等を行った。その結果、チャンネル登録者数は前年同日比で397%増加(本日時点で5,790名)したことに加え、1年間の視聴回数も前年同期間比で137%増加(全動画合計で2,097万回)した。また、1月に新たに開設したX(旧Twitter)のアカウントにおいては、1月の開設から今日に至るまでの投稿の総閲覧数は42万回を記録した。
1)自然災害対応に向けた啓発
ア.自然災害への取組み
イ.災害に便乗する悪質な業者に関するトラブル防止に向けた取組み
2)リスク情報をより必要とする方に向けた啓発
ア.若年層の方に対する取組み
イ.海外から来られた方への取組み
ウ.中小企業に対する取組み
3)アジア各国における損害保険事業の発展に向けた貢献
ア.健全でレジリエントな損害保険制度の発展への貢献
イ.国際会議における発信強化
■おわりに
以上で述べた信頼回復、能登半島地震、および就任時に掲げた課題への対応については、私自身、それぞれに対して強い想いをもって取り組んできた。一方で、協会長としての任期の1年間が終わろうとしている今、「各取組みについてスピード感を持って進めることが出来た」という想いもあるが、現状を鑑みると、それ以上に「更なる対応が必要である」と強く感じている。
まず、信頼回復については、昨年をターニングポイントとして、当業界における「お客さま本位」の活動を再構築するために、「業界の商慣習を見直し、正すべきことを正す」との想いで様々な取り組みを進めてきた。
しかしながら、社会からの信頼の回復は依然、道半ばである。今後、当業界が社会からの信頼を取り戻すためには、適正な競争環境をより早期に整備し、規律ある活動を徹底するなど、不断の取組みを進めていく必要がある。加えて、金融庁有識者会議において当業界の構造的課題が指摘されている中、今後は制度面での対応含め、金融庁とも議論を続け、当業界を変えていく必要性も感じている。
また、啓発活動や能登半島地震への対応については、「自然災害に対する防災・減災、保険の重要性をお伝えし、災害時に迅速に保険金をお支払いすることで、損害保険の本来機能を果たす」という想いのもと、発信力も強化しながら、全力で取組みを進めてきた。しかしながら、首都直下地震や南海トラフ地震等が発生する可能性も踏まえると、迅速な保険金支払いに向けた対応や啓発活動については、今後も更に工夫を重ね、一層強力に取組みを進めていく必要がある。
当協会としては、このような認識に基づき、「社会に対して安心・安全を届ける」という不変の使命の達成に向けて、第10次中期基本計画に則って各種取組みを鋭意進めていく。
間もなく協会長としての任期は終わるが、引き続き、当協会の理事、および個社の社長として、当業界の本来の機能発揮に向けて、力を尽くす決意である。
この一年間、業界内の関係者のみならず、各種取組みを支援いただいた政府・自治体・警察等の皆様に、心より御礼申し上げる。引き続き、損害保険業界および当協会に対するご理解・ご協力を宜しくお願い申し上げる。