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損保協会、協会長ステートメントを発表

損保協会は、12月の定例会見以降の主な取組みについて新納啓介会長が協会長ステートメントを発表した。
◆令和6年能登半島地震について
この度の令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に、謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。また、現地で被災者の救援や支援に尽力されている方々に対して、深く敬意を表します。
損害保険業界としては、今般の地震に際して、発生翌日の1月2日に、協会長を本部長とする「自然災害対策本部」を立ち上げ、保険契約者の方々に対して迅速に保険金を支払うために、一丸となって各種対応を進めているところである。
特に、今回の地震においては、東日本大震災以来となる航空写真を用いた共同調査を実施した。東日本大震災では、広範囲のエリアを「全損地域(街区内の建造物がすべて流失または焼失している地域)」として一括認定したが、今回の地震の特性を踏まえ、津波や火災による被害が発生した地域を業界として初めて細分化した上で、「全損地域」、ならびに「一部全損地域(街区内で流失または焼失している建造物が確認できるものの一部の建築物が残置している地域)」の認定を行った。また、今回は新たに「倒壊建物」についての共同調査も実施し、保険金支払いに際して現地調査の省略を可能とすることで、前述の一括認定と併せて、迅速な保険金支払いにつなげている。
このような取組みや、現地の会員会社社員・代理店をはじめとした業界関係者の懸命な努力により、3月8日時点で、67,413件、610億円の保険金をお支払いしている。また、事故受付件数に対する、調査完了割合は、83%となっており、過去発生した多くの大規模地震と比べても、早いペースで調査が進んでいるところである。
また、新たにX(旧Twitter)を活用して、先述の共同調査の結果や、災害に便乗する悪質な業者についての注意喚起、外国語で対応が可能な会員会社の相談窓口の一覧など、災害に関する各種情報を発信している。特に、災害に便乗する悪質な業者についての注意喚起は、金融庁等の省庁、被災地域の自治体や県警、他団体等経由でも情報発信し、3月21日時点で閲覧数が20万回を超え、多くの方々に情報を届けた。
令和6年能登半島地震について
加えて、被災者の方々の支援に向けて、契約の継続手続きや保険料の払い込みを猶予する特別措置や、会員各社からの拠出を取りまとめ、1月31日に日本赤十字社を通じて被災地へ3億円の義捐金の寄贈などの対応を行っている。
引き続き、被災者の方々の生活再建のために、業界をあげて全力で取り組んでいく。
◆信頼回復に向けた当業界の取組みについて
昨年発生した保険料調整行為、およびビッグモーター社による保険金不正請求について、先般、関係する会員会社が金融庁に業務改善計画を提出した。今後は当該会員会社が業務改善計画に基づき再発防止に取り組み、効果を検証しながら、必要に応じて更なる対策を行うとともに、取組状況について金融庁へ継続的に報告していく予定である。
当協会としては、次の取組みを進めており、3月21の当協会理事会においても、これらの取組みの全体像を改めて示した上で、同様の事例が二度と発生しないよう、会員全社の経営トップに直接、呼びかけを行ったところである。
1.保険料調整行為に関する対応
1)「行動規範」へ「独占禁止法遵守」を明記<3月21公表>
2)「保険契約引受にかかる独占禁止法上の留意点」を新規作成<3月6日公表>
3)代理店・募集人への周知<2月27日公表>
2.ビッグモーター社による保険金不正請求に関する対応
1)会員会社に対するフォローアップ<3月21公表>
2)代理店・募集人への周知<2月27日公表>
3)不正請求対策のレベルアップ<3月21公表>
3.「業務抜本改革推進PT」の設置<3月21公表>
4.「お客様の声・有識者諮問会議」との連携<3月21公表>
◆第9次中期基本計画の最終年度取組みについて
信頼回復に向けた取組みと同時に、今年度、協会長就任時に掲げた各種取組みについても、着実に推進している。特に2024年3月は、当協会の3か年の活動計画であった「第9次中期基本計画」を締めくくるタイミングであり、次のような活動に取り組んだ。
1.自然災害対応に向けた啓発について
1)自然災害対応に向けた啓発
2)災害に便乗する悪質な業者に関するトラブル防止に向けた取組み
2.リスク情報をより必要とする方々に向けた啓発
1)若年層の方に対する取組み
2)海外から来られた方への取組み
3)中小企業への取組み
◆第10次中期基本計画について
当協会では、今後3年間の事業の運営計画として「第10次中期基本計画」を策定し、3月21の理事会で決議した。
まず、この計画においては、「お客さま本位の業務運営」および「法令等遵守」をあらゆる業務の根幹として位置づけ、保険料調整・ビッグモーター社による保険金不正請求の問題により棄損した社会からの信頼の回復のために、今後も不断の取組みを進めることを掲げた。
具体的には、これまで策定してきた業界ガイドライン等に基づく会員各社の取組みを引き続きフォローアップしていくとともに、先述の「業務抜本改革推進PT」を通じて会員会社向けの業界ガイドラインの策定や再発防止に向けたツールの作成を進めていく。また、「お客様の声・有識者諮問会議」の委員からも内容についてご意見をいただきながら、検討を進めていく。
その上で、従来から業界課題として継続的に取り組んできた3つのテーマに対して、それぞれ次の3年間の対応方針を示している。
一つ目のテーマである「損保業界の成長を支えるビジネス基盤の整備」については、自賠責保険の引受・契約管理業務に係る業界共通の共同システム「One-JIBAI」を構築し、「異動・解約の非対面手続き」「保険料のキャッシュレス」を実現する等、デジタル技術を活用した共通化・標準化・共同化の取組みを進めていく。
二つ目のテーマである「社会・保険制度のレジリエンス強化」については、地震保険損害調査の効率化や大規模水災発生時の被害状況確認の共同化等を通じて、自然災害等に対する対応力を高めるとともに、保険金不正請求対策の進化、啓発等による悪質な業者とのトラブル・消費者被害防止を図っていく。
三つ目のテーマである「消費者・事業者へのリスクマネジメントの理解浸透」については、損害保険にかかる金融リテラシー教育の推進に加え、サイバー攻撃、水災、地震等のリスクについて、国民の皆様のリスク認識を高め、適切な保険加入を促していく。
これらの取組みを着実に前に進め、「国民生活の安定・国民経済の健全な発展」に貢献していく。
◆おわりに
12月の会見でも申し上げたとおり、保険料調整行為、およびビッグモーター社による保険金不正請求の問題について金融庁から関係する会員会社に対して行政処分が発出され、当業界に対する社会からの信頼は毀損した状態にある。このような状況を受け、当協会ではこれまでの取組みの不足を深く反省し、現在、再発防止に向けたガイドラインの整備等、当協会として必要と考える対策を進めてきたところである。
しかしながら、当業界が社会からの信頼を取り戻すためには、保険会社と代理店の関係や、業界の商習慣を変えていくこと等が必要である。今後は、当協会の「業務抜本改革推進PT」が中心となり、金融庁の「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」や、当協会の「お客様の声・有識者諮問会議」等、業界内の論議だけでは見えてこない外部の視点でのご意見も踏まえながら、取組みを進めていく。
また、今般の令和6年能登半島地震を通じて、「我が国においては大規模な自然災害が、いつ、どこで発生するかわからない」という事実が、改めて浮き彫りになった。
被災地域には、私自身が赴き、各県の自治体や損害保険代理業協会、マスコミの方々等から直接お話を伺うことができた。その際、ご自宅が全壊した代理店の方からもお話を伺ったが、迅速な保険金支払いに対する感謝の言葉とともに、災害時の保険会社、および代理店の重要性についてお話があり、改めて地震の際の保険会社の役割や、災害時の生活再建における保険の重要性を実感した。このような体験を通じて、損害保険事業の基本に立ち返り、災害の際に迅速に保険金を支払うとともに、災害が起こる前にしっかりとリスクをお伝えし、災害への備えについて検討いただくことについて、粘り強く取り組んでいく必要性を強く感じているところである。
喫緊の課題である信頼回復への対応に加え、自然災害への対応など、第10次中期基本計画に盛り込んだ取組みをしっかりと成果に結びつけるためには、計画期間の開始後、遅滞なく課題やスケジュールを関係者間でしっかりと共有し、具体的な取組みに着手していくことが不可欠と考えている。私自身の残りの任期でもある3か月間、最後まで職責を全うし、全身全霊をもって、業界をリードしていく所存である。

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