損保協会、高等学校における損害保険に関する教育の実態調査(3回目)を実施
損保協会は、全国約5,000校の高等学校の公民科・家庭科教員を対象に、「高等学校におけるリスクや損害保険の教育に関する実態調査」を実施した。本調査は、2021年度、2022年度に続き3回目となる。
今回の調査結果およびこれまでの調査との比較における主なポイントは次のとおりである。
○損害保険に関する教育が「必要」または「ある程度必要」と回答した教員は88.8%となった。2021年度の調査開始以降、毎年上昇しており、損害保険に関する教育の必要性について、高い認識があるとともに、年々高まっている。
○「損害保険に関する教育を実施している」と回答した教員は33.8%となった。2021年度の調査開始以降、毎年上昇しているが、損害保険に関する教育の必要性の認識と実施実態の乖離は依然として大きい。
○今後の損害保険に関する教育の実施に向けて重要と考えられる取組みとして割合の高かったものは、「授業時間の確保」で58.5%、「副教材・ツールなどの充実」で43.3%、「教科書の記載内容の充実」で38.2%となった。教科書などの教材について、損害保険に関する記載内容の充実が図られている一方で、教育の実施にあたっては、授業時間の不足がより意識されていることが読み取れる。
本調査結果では、損害保険教育の必要性を認識しつつも、教育を実施できていない大きな要因として、「授業時間が不足していること」が読み取れた。生活の中で直面する様々なリスクに対して、経済的な備えができる損害保険の仕組みや必要性を理解することは、金融経済教育の観点から重要である。また、高等学校の公民科・家庭科の学習指導要領では、民間保険を含めた金融経済教育を実施することとされている。限られた時間で、広範な分野にわたる金融経済に関する知識を修得するためには、重要な事項をコンパクトに、バランスよく学ぶことが必要である。
同協会は、損害保険に関する教育の必要性を認識している教員の皆様が、授業で損害保険について取り扱えるよう、教員の皆様に対して、より役立つ情報の発信や授業で扱いやすい教育ツールの提供を実施していく。
<損害保険に関する教育の実態調査について>
・2018年(平成30年)に告示された高等学校学習指導要領解説において、生活上のリスクに対する備えや自助などの観点から、「公共」や「家庭」の授業で「民間保険」について触れるよう示されたこと、また、成年年齢の引き下げにより、高校在学中であっても親権者の同意を得ずに契約できるようになったことなどを背景に、2021年度から、全国約5,000校の高等学校の公民科・家庭科教員を対象とし、損害保険に関する教育の実態調査を実施している。
・3回目の調査は2023年12月~2024年1月に実施した。有効回答数は1,548件。