損保協会、「損害保険の保険金支払いに関するガイドライン」を改定
損保協会は、「保険金不正請求対応」に関する各種取り組みを進めることとしていた(9月19日付でニュースリリース)。11月30日、このうち、「損害保険の保険金支払に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」)の改定を行った。
1.改定経緯
今般のビッグモーター社による不正請求事案に関する会員会社の調査結果から、保険金支払業務における「入庫紹介」および「損害調査の手法」について次の状況を確認した。
(1)入庫紹介
・保険会社が自動車修理工場を紹介する行為は、お客さまへの入庫・修理・支払までの迅速な損害サービスの提供といった付加価値提供の観点を基軸として、お客さま・保険会社・自動車修理工場にそれぞれメリットがあるビジネス慣行である。
・しかし、今般のビッグモーター社による不正請求事案の発生の背景として、一部保険会社において、お客さまの利益よりも保険契約の獲得を優先したと受け止められる特定の自動車修理工場との関係性が確認された。
(2)損害調査の手法
・保険金支払実務では、損害の発生原因、損害の状況、必要な修理金額等を確認のうえ、適正な保険金の支払いに向けた損害調査を実施している。損害調査にあたっては、適時・適切な保険金支払を実現する観点から、適正性および効率性のいずれも考慮のうえ、事案の特性に応じた手法を採用する必要がある。
・また、保険会社が入庫紹介を行う自動車修理工場との関係においては、当該自動車修理工場の専門性、技術水準等に応じた効率的な調査態勢を構築することがあり、迅速な保険金支払いにもつながっている。
・しかし、ビッグモーター社による不正請求事案においては、一部保険会社において、不正請求が疑われた後も十分な調査を行わず、保険金不正請求に対する牽制機能が発揮されていない事象が確認された。
2.改定内容の概要
今般のビッグモーター社による不正請求の発覚により、お客さまの意向や要望に沿った入庫紹介の実施や、事案に応じた適切な損害調査の手法が採用されるよう、必要な考え方の明確化を図った。
3.今後の取り組みについて
同協会は、今後、次の取り組みを進めていく。
(1)会員会社におけるガイドラインに則った実務運営の実施
(2)会員会社における取り組みの推進とフォローアップの実施