損保ジャパン、輸入バイオマス燃料の安定供給を支援する保険を開発
損保ジャパンは、バイオマス燃料の輸入販売業者の仕入先・自社供給網等で発生する偶然な事故によって供給が中断・停止した場合に、輸入販売業者が燃料の買主との燃料供給契約に従って、代替の燃料を調達する際にかかる追加の費用等を補償する商品を開発した。この保険を提供することにより、バイオマス発電の普及を通した国内における電力の安定供給と脱炭素の取組みへ貢献していく。
■取組みの背景と目的
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、エネルギー業界でも様々な取組みが行われている。なかでもバイオマス発電は、廃棄物等を活用したエネルギー生成が可能で、温室効果ガスの排出削減に寄与するというメリットから、安定したベースロード電源※としての可能性を持つ有効な選択肢として、役割の拡大が期待されている。それらの背景から、国内で広がるバイオマス発電所、CO2削減を図るため燃料の石炭に木質バイオマスを混ぜた燃料で発電(混焼)する石炭火力発電所による需要拡大を受けて、バイオマス燃料の輸入が増加している。
しかし、バイオマス燃料の輸入においては燃料生産国から日本に至るサプライチェーンにおいて発生する偶発的な事故に起因する供給中断リスクを抱えている。
従来は、燃料の売主である燃料供給業者が、買主である発電所等の燃料使用者との間で締結する燃料供給契約書において、燃料供給が中断した場合の代替燃料の調達(スポット買付け等)や、各種超過コスト等を負担する約定を行うことが一般的だった。
しかし、輸入燃料については、供給不能期間が大規模かつ長期にわたり、対応費用が巨額になるケースも想定され、買主側も供給中断リスクを抱えながらバイオマス発電事業を行う必要があるなど、輸入バイオマス燃料の供給中断・停止は業界共通の主要な課題の一つとして認識されている。
そこで、損保ジャパンは、売主・買主双方を守るための保険として、偶然な事故により代替燃料を調達する際にかかる追加の費用等を補償する保険商品の組成・提供検討を9月に開始した。
※ ベースロード電源とはコストが安く、昼夜を問わず安定的に発電できる電力源であり、原子力や石炭火力、水力、地
熱発電などが該当。
■商品概要
・商品:輸入バイオマス燃料に関わる供給停止・中断による損害を補償し支援する保険
・被保険者:燃料供給契約を燃料使用者(発電所等)と締結する売主
・概要:偶然な事由が発生した際に、予め締結している燃料供給契約書の取り決めに基づき、売主が代替燃料調達や賠償などを履行することにより発生する費用を補償
・偶然な事由:サプライチェーンにおいて発生する火災・爆発・自然災害などに起因する売主の燃料供給停止