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三井住友海上、損害保険データと機械学習を活用した自然災害被害推定システムを開発

三井住友海上、MS&ADインターリスク総研及び防災科学技術研究所は、損害保険データと機械学習を活用し、災害発生時に精度高く被害を推定する自然災害被害推定システム(地震被害推定システム及び洪水被害推定システム)を開発した。
MS&ADインターリスク総研及び防災科学技術研究所(以下「防災科研」)は、内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の「官民データ連携による応急対応促進」において、「早期復旧に貢献するための詳細な被害想定によるリスクや被害状況の定量化のニーズに基づく研究開発」を実施している。
今般、三井住友海上と共同で、地震発生時に早期に被害規模を把握し、被災者への迅速な保険金支払いを可能とするため、地震観測データ、高解像度の保険データ及びAI技術の一つである機械学習を活用した被害関数※(地震の強さを表す複数の指標と被害の関係式)を用いて、保険金の支払件数や支払額を精度高く推定する地震被害推定システムを開発した。本システムは、三井住友海上において保険金支払いの迅速化・効率化などに活用する予定である。
また、地震以外の自然災害にも対応するために、洪水に関する観測データを使用した洪水被害推定システムを開発し、現在、実用化を目指して高度化・自動化に取り組んでいる。
さらに、今後は防災科研が進める、災害警戒情報を企業のBCPや災害対応の意思決定に結びつける防災情報サービスの基盤に係る研究開発と連携して、損害保険会社だけでなく、自治体や一般企業向けに災害リスク情報や被害推定情報を提供するシステムに拡張していく予定である。
※通常は、最大加速度、最大速度及び計測震度など単一の指標から被害規模を算定するが、本研究では複数の指標を用いて機械学習させることにより、被害予測の精度向上を行う新たな取組を実施している。
◆主な内容
(1)地震発生時の高精度な地震被害推定システムの開発
米国の地震リスク分析用ソフトウェアの提供会社と協働して、防災科研などの研究機関が公開している地震観測データを取り込む仕組みを構築した。
さらに、2018年に発生した大阪府北部の地震などを対象に、三井住友海上が提供した膨大な保険データと、多層パーセプトロンと呼ばれる機械学習アルゴリズムにより、地震と建物の揺れの特性を考慮した被害関数を構築することで、保険金の支払件数や支払額を早期に精度高く推定するシステムを開発した。三井住友海上は今年度(2021年度)から保険金支払いの迅速化・効率化などに活用する予定である。
(2)観測データを使用した洪水被害推定システムの開発
気象庁の各河川の流量、降雨量に関するデータ及び堤防の破堤情報をリスク評価ソフトウェアに早期に取り込むことで、洪水による保険金の支払額を推定するシステムを開発した。今後は、この推定手法の高度化と自動化を図り、損害規模の早期把握に活用する。
また、このシステムは予測データの取り込みにも応用が可能で、将来の河川流量や降雨量の予測データに基づく洪水被害を推定することができる。

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