東京海上日動、フランスのフィンテックスタートアップSESAMmとの協業開始
東京海上日動は、資産運用業務におけるDX推進の取り組みとして、フィンテックスタートアップのSESAMm(フランス、以下「セサム社」)と協業し、AI感情分析を活用した独自の運用モデルを開発するプロジェクトを開始する。
1.背景
同社では、資産運用部門における運用業務の効率化・高度化を進めていくため、2021年4月に部門内に高度専門チーム(CenterofExcellence)を組織し、検討を本格化させてきた。
投資判断を高度化するうえでは、経済指標や金利・株価等の金融市場に関する定量データだけではなく、ニュースやソーシャルメディア等の定性データを複合的に分析することが必要となる。このような中、同社は、金融分野における自然言語処理の高い専門性と、定量・定性データのデータベースを有するフィンテックスタートアップのセサム社と協業し、データやAIを活用しながら資産運用を高度化していく取り組みを進めることとした。
2.プロジェクトの狙い
同社は、セサム社と協業することで、①独自の運用モデル開発②データサイエンティスト人材の育成③データ収集・分析に関する知見の獲得につなげ、運用収益を向上させていく。
①独自の運用モデル開発
セサム社と連携しながら、海外社債への投資など資産運用全般にAIの活用を進め、将来のマーケット動向を予測する独自モデルを共同で開発する。本モデルでは、投資家のリスク許容度のシグナルだけでなく、マーケットにおける“喜び(Joy)”、“恐怖(Fear)”、“怒り(Anger)”といった感情の蓄積をAIで分析していく。これらのシグナルと従来の定量分析を組み合わせることで、株価やクレジットに関する予測精度の向上を図る。
②データサイエンティスト人材の育成
プロジェクトでは、同社のプロジェクトメンバーがセサム社のデータサイエンティストチームにハンズオンで参加し、協業しながら最先端のアルゴリズム構築を行う予定である。資産運用に関するデータやAIの活用について実務経験を積むことで、DXを担うデータ人材の専門性と実務能力の向上につなげていく。
③データ収集・分析に関する知見の獲得
セサム社は、オルタナデータと呼ばれる140億以上の文章から構成される巨大なデータベースを有している。また、データベースに含まれるニュース・ブログ・SNS等の膨大な情報の中から、投資に関する新たなアイデア・見識・シグナルを探し出したうえでAIが分析しダッシュボードに可視化する技術を有している。セサム社のもつデータベースやアルゴリズムにアクセスすることで、データ取得に関する知見を得るとともに、過去相場のデータ分析といったケーススタディを行い、データ分析のノウハウを蓄積していく。
3.今後について
同社は、デジタルを活用したプロセス変革や働き方変革の取り組みを全社で推進している。
今後、資産運用部門を含めた各部門におけるDXをさらに加速させ、データやデジタルを活用しながらお客様へ新たな価値を提供していく。