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損保ジャパン、SOMPOリスクマネジメント、自動車事故における自動事故判定に関するAI技術を開発

損保ジャパン、SOMPOリスクマネジメントは、安全運転支援のための情報技術活用の研究成果として、「機械学習による自動事故判定技術」を開発した。本技術の開発にあたり、国立大学法人東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻山西健司教授(以下、「東京大学・山西教授」)に技術支援してもらった。
1.背景・目的
損保ジャパンは、交通事故削減のため、自動車保険の特約として2015年からドライブレコーダーを用いた安全運転支援サービス『スマイリングロード』、『DRIVING!』や、スマートフォンアプリ『ポータブルスマイリングロード』を順次提供してきた。さらに、これらのサービスから収集した大量の走行データを活用して、ドライバーの安全運転に資するさまざまなサービスを開発・提供している。
損保ジャパンとSOMPOリスクマネジメントは、2015年の『スマイリングロード』の発売と同時に、自動車走行データ活用のための研究チームを社内に立ち上げ、外部研究機関とも連携し、機械学習技術の研究開発およびサービス化に取り組んでおり、2019年度には、複数の人工知能関連の国際会議で研究成果を発表した。それらの成果を生かし2021年度中に『DRIVING!』の運転診断の新たな機能追加に向けて開発を進めている。
今回、開発に取り組んだ「機械学習による自動事故判定技術」は、保険会社として重要な役割である自動車事故の初期対応において、サービスの迅速化とお客さまの安心感の向上に寄与すると考え、2020年5月から東京大学・山西教授とともに、機械学習および異常検知技術を応用した自動事故判定の精度向上を目指して、研究してきたものである。
これまで、『DRIVING!』のサービスとして、ドライブレコーダーが強い衝撃を受けると自動的に損保ジャパンやあらかじめ登録したご家族の携帯電話に通知する「自動通報」機能があった。このたびの「機械学習による自動事故判定技術」の開発により、従来よりも高い、95%の精度で事故発生の自動判定が可能となることから、「自動通報」機能の高度化を目指す。また、『DRIVING!』のALSOKかけつけ安心サービスや過失割合算定システムと連携することで、今後、お客さまに、事故対応に関する一層高度なサービスが提供できると考えている。
2.「機械学習による自動事故判定技術」の概要
「機械学習による自動事故判定技術」は、損保ジャパンの自動車保険の特約であるドライブレコーダーを用いた安全運転支援サービス『DRIVING!』で収集された約10万人分の運転データをもとに、加速度センサーで検知した衝撃から事故の自動判定を行うロジックに機械学習を応用したものである。従来の簡素な「ルールベース※1ロジック」では、事故判定が衝撃の基準超過の評価のみに大きく依存し、誤検知が一定割合含まれてしまうことが課題となっていた。そこで、判定ロジックを「機械学習モデルベース※1」に変更し、モデルが使用する特徴量として、「マハラノビス距離※2」をはじめとする異常検知の評価指標を組み込むことで、事故の判定精度を向上させることを目指した(図1)。多数のモデルを統合する「アンサンブル学習※3」の採用により、様々な衝撃パターンに対応できる「ロバスト性※4」と、高い事故判定精度を達成し、約6,000件の衝撃検知データを対象とした モデルの性能評価実験では、95%以上の正解率で事故を判定できることが確認された。
※1 主要な事故状況の想定に基づくルールを設定し、想定外のマイナーな事故状況を捨象して、明快に事故判定を行うルールベースロジックに対し、機械学習モデルベースのロジックでは、運転データに含まれる多くの情報を元に、より複雑な条件で事故判定を行う。
※2 データ分析において利用される、多次元空間における平均との距離尺度であり、距離の大きさによって、事故判定といった異常検知の評価を行う。
※3 複数の分類器を使って分類精度を増強する方法。特に、ここでは勾配ブースティングと呼ばれる方法を用いて、複数の分類器を継承しながら精度を増強する方法を用いた。
※4 事故判定モデルが、学習に利用した特定の事故状況での判定のみに特化して過剰適合することなく、様々な事故状況での衝撃パターンに対し、同様に高い判定性能を示す性質を指す。
3.今後について
損保ジャパンは、2021年度中をめどに、自動車保険の特約『DRIVING!』で提供中の「自動通報」機能に「機械学習による自動事故判定技術」を用いて、事故判定の精度向上を図り、事故で困っている方にいち早くつながることで、手助けや不安の解消となる事故対応サービスを提供する。また、損保ジャパンは、安全運転に資する革新的な技術を搭載したサービスの提供を目指し、事故の無い社会の実現を支援していく。

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