東京海上日動、国内M&A保険(表明保証保険)の販売開始
東京海上日動は、2020年1月より、国内企業同士のM&Aを対象とした、売主の表明保証違反による買主の損害を補償する保険(以下「国内M&A保険」)の販売を開始する。国内M&A保険の販売を通じて、企業の戦略的成長や事業承継問題の解決を促すM&A取引に対するソリューションを提供することで、同社は今後も、国内経済活性化や地方創生などを支援していく。
1.背景
同社は、2016年以降、国内企業による海外企業の買収案件を対象とするM&A保険(以下、「海外M&A保険」)の引受けを行ってきた。近年、中小企業を中心とした事業承継や大企業によるベンチャー企業の買収などを背景に、国内企業同士のM&Aは今後もますます増加していくことが予想される。
このような社会情勢の中、売主・買主双方の国内企業が安心してM&A取引をできる環境づくりを支援するため、同社は、国内企業による国内企業の買収案件を対象とする国内M&A保険を開発した。
2.表明保証とM&A保険の関係
株式譲渡、事業譲渡等のM&A取引においては、その契約書に表明保証に関する条項が設けられ、売主が買主に対して買収対象会社についての財務や法務等に関する開示事項に虚偽がないことを表明し、保証することが一般的である。売主は、この表明保証に違反した場合には、買主が被る損害に対して金銭的な補償を行う義務を負う。表明保証は、買主と売主の交渉によりその内容が決定されるが、買主は広範囲な保証を希望する一方で、売主は限定的な保証を希望する傾向があることから、買主と売主の両者が満足する合意を得ることが難しいと言われている。
この問題を解決する手段としてM&A保険を活用することが可能である。M&A保険は、売主の表明保証違反が生じたことによって、買主が被る損害に対して保険金を支払う商品である。表明保証違反による損害をM&A保険に転嫁することにより、売主にとっては信用力の補完や当該案件からの早期のクリーンエグジット、買主にとっては買収提案の優位性向上や売主との良好な関係維持に役立てられる。
3.国内M&A保険の特長
これまでのM&A保険は、英語による引受審査が一般的であり、株式譲渡契約やデューデリジェンス資料などの取引関連書類が日本語である国内企業同士のM&Aや一定の規模に満たないM&Aについては、コスト面などの理由から引受けが難しいという課題があった。この課題を解決するために、同社はこの度、以下の点を特長とした業界初の国内M&A保険を開発した。
(1)日本語によるスピーディな審査
同社の国内M&A保険は、関連書類がすべて日本語であることを前提とし、国内企業同士のM&Aに特化した内容であり、引受審査も保険証券の発行も日本語で行うため、翻訳などに要する時間とコストを削減できる。(引受審査や証券発行を日本語で対応する、業界初のM&A保険となる。)
(2)見積もり費用は、原則、無料
日本・海外問わず、M&A保険では、保険会社が見積もりを行う場合、保険料とは別途、お客様に見積り費用を負担することが一般的である。同社の国内M&A保険では、原則、見積もり時のお客様負担は発生しない。このため、お客様の検討に要するコストが節減でき、一層利用しやすいものとなっている。
今後も、同社は新たなリスクからお客様を守るべく最適な商品・サービスの開発・提供を進めていく。