損保ジャパン日本興亜とSOMPOリスクマネジメントが一橋大学・東京商工リサーチと「災害レジリエンススコアリングモデル」を共同開発
損保ジャパン日本興亜とSOMPOリスクマネジメント株式会社は、一橋大学、株式会社東京商工リサーチ(以下「TSR」)と共同で、自然災害時における売上・利益減少額などから財務への影響を評価する『災害レジリエンススコアリングモデル』(以下「本モデル」)を開発した。
●背景
地震や風水災により、自社の生産設備や資産に損害が生じた企業は、生産・サービスの提供が困難になり、さらに復旧のための追加費用もかかるため、結果として、売上・利益が減少する。また、企業自体は罹災していない場合でも、仕入先・販売先企業が罹災し、その企業のサプライチェーンが停止されたことにより、売上・利益減となる可能性がある。
従来、損害保険会社は、自然災害時の企業の利益減少を補償する保険商品を販売してきたが、企業間取引が複雑化するなか、災害時における企業財務インパクトを予測することが難しくなっている。
そのため、サプライチェーン停止リスクを見える化し、財務インパクトを客観的に示しながらリスクマネジメントを検討する社会的な必要性が高まってきている。
●概要
本モデルは、TSRが有する数百万社におよぶ企業属性、企業財務、企業間取引に関するビッグデータと企業活動に多大なる影響をおよぼした東日本大震災時のデータを学習データとして、企業の売上高や利益の変動を機械学習手法によってモデル化したもの。本モデルは、一橋大学とTSRが共同開発した企業の成長や倒産などのイベントを予測するスコアリング技術を発展させることで、これまでリスク把握・定量化が困難であった「企業のサプライチェーン停止に伴うリスクを反映した企業の売上高や利益減少」を評価することが可能となる。さらに、本モデルを用いて、企業の業種や規模、サプライチェーンの状況などを総合評価して、「災害レジリエンススコア」として算出する。
●今後について
損保ジャパン日本興亜は本モデルを用いて企業の災害発生時の売上・利益減少の財務影響や「災害レジリエンススコア」を評価し、それに基づく企業向けリスク回避ソリューションやBCPサービスを展開していく。災害シナリオに沿って、災害時に想定される利益減少額を試算し、さらにBCPの実効性を高めるため、その企業自体や企業と取引や仕入関係がある個々の企業に対する災害レジリエンススコアを提供する予定。
また、SURI(Stanford Urban Research Institute)等と協力して、災害時の事業停止期間や復旧期間を精緻に推定する手法を取り入れ、台風や洪水などの自然災害にも拡張するモデルの高度化も進めていく。災害レジリエンススコアリングを通じて、企業が抱えるあらゆる自然災害リスクを見える化し、リスク回避スキームの提案・BCPサービスを展開していく。