SOMPOホールディングス、平成31年度「認知症対策官民イノベーション実証基盤整備事業」における「認知症予防を目指した多因子介入によるランダム化比較試験」の実施
SOMPOホールディングスは、 「認知症予防を目指した多因子介入によるランダム化比較試験」(以下、「本研究」)において将来的な社会実装を視野においた介入法の確立を目指すために、分担機関として本研究に参画した。
また、国立長寿医療研究センターは、このたび、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、「AMED」)が行う「平成31年(令和元年)度認知症対策官民イノベーション実証基盤整備事業」に応募し、「認知症予防を目指した多因子介入によるランダム化比較試験」(以下、「本研究」)が採択されたことを受け、AMEDとの間で委託研究開発契約を締結した。
今後、AMEDの支援を受け、本研究を実施していく。
SOMPOホールディングスは、運動・栄養指導・認知機能訓練の分野においてサービスを展開する、コナミスポーツ株式会社、SOMPOヘルスサポート株式会社、ネスレ日本株式会社と連携し、多因子の複合的認知症予防プログラム(生活習慣病管理、運動、栄養、認知機能訓練の複合的な介入)による認知機能低下の抑制に対する有効性を検証することを目指す。
1.背景
認知症対策として、認知機能低下の抑制や認知症を有する人の生活支援・社会受容を可能にする介入に対する社会的ニーズが高まっている。2019年6月18日に取りまとめられた「認知症施策推進大綱」には、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら、「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進していくことが掲げられている。「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味での予防の取組みにおいて、認知症の早期発見・早期対応法の確立、予防法の開発が喫緊の課題となっている。
2.目的
本研究では、介入開始時において認知症発症リスクの高い高齢者を対象として、生活習慣病管理、運動・栄養介入、認知機能訓練を複合的に実施する認知症予防プログラムによる認知機能低下の抑制に対する有効性を、ランダム化比較試験※1で検証することを目指す。
3年間の本研究期間中に、認知症予防プログラムの認知機能低下抑制効果を明らかにするとともに、研究機関と民間企業とが連携して研究を実施することで、将来の社会実装を見据えた認知症予防サービスの仕組み構築を視野に取り組んでいく。
また、バイオマーカー※2、オミックス解析※3や脳画像解析※4を実施することで認知機能低下抑制のメカニズムに迫ることを目指す。
3.研究の概要
本研究全体の統括は代表機関である国立長寿医療研究センターが行い、認知症ハイリスク高齢者を対象として、生活習慣病管理、運動・栄養介入、認知機能訓練の複合的な多因子介入実施(オープンラベルランダム化比較試験※5)により、介入開始後18ヵ月までの認知障害の進行が抑制されるかを検証する。対象者のリクルートは、国立長寿医療研究センター、名古屋大学、藤田医科大学、名古屋市立大学で行う。
研究計画書に基づき開発されたプログラムにおいては、運動指導・栄養指導・認知機能訓練が実施される。これら介入プログラムおよびアプローチの全体は、研究期間を通じてSOMPOホールディングスグループが統括する。運動指導はコナミスポーツが担当し、フレイルと認知機能低下の予防を目的とした施設での運動指導プログラムを提供する。栄養指導はSOMPOヘルスサポートが担当し、健康相談員によるフレイルと認知機能低下の予防を目的とした栄養指導を実施する。認知機能訓練はネスレ日本が担当し、自宅で実施可能なタブレットによる認知機能訓練を提供する。
4.今後の展望
本研究の成果は、日本の認知症発症リスクの減少に向けたエビデンスベースのアプローチの第一歩となるものである。本研究を通じて、認知症施策推進大綱に掲げられた「認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会」の実現を目指していく。
※1 ランダム化比較試験:研究の対象となる人を、複数のグループ(例:治療群と対照群)にランダムにわけて、治療の効果などを比較する試験のこと。
※2 バイオマーカー:病気の診断や進行、治療の効果などを把握するための指標となる体内の物質(血液やたんぱく質)のこと。
※3 オミックス解析:遺伝子DNAや、転写物mRNA、たんぱく質、代謝産物など生体内分子を網羅的に調べること。
※4 脳画像解析:MRIなどで撮影した個人の脳画像を標準となる画像と合わせて、統計的手法を用いて客観的に脳の構造や機能の変化について調べること。
※5 オープンラベルランダム化比較試験:研究の対象となった人が、どのグループに割り付けられたか、医師やスタッフ、対象となった本人に知られているランダム化比較試験のこと。