東京海上日動、日本貿易保険へ出再スキームを活用した海外投資保険を発売
東京海上日動は、中小企業の海外進出を後押しするために、株式会社日本貿易保険(以下「NEXI」)と再保険に関する契約を締結し、NEXIへの出再スキームを活用した「海外投資保険」を業界で初めて販売する。(本年8月1日販売開始)
1.背景・経緯
近年、国内企業による海外進出や海外投資は増加傾向にあり、対外直接投資残高も急激に増加している。
一方で、同社が行ったニーズ調査によると、海外投資の検討に際し、政治的・経済的混乱による財産の没収や送金の阻害などのカントリーリスクに対する不安があるものの、それらに対する具体的な対策が講じられていないケースが多いことがわかった。
こうした国内企業の海外進出・海外投資の状況、および海外投資に伴うニーズを踏まえ、海外におけるカントリーリスクをカバーする「海外投資保険」を開発し販売する。
2.「海外投資保険」の概要等
(1)主な補償内容
海外投資保険は、日本の企業が海外に所有する株式や不動産の権利等について、カントリーリスクにより損失が生じた場合に補償する保険である。
①カントリーリスクとは
・収用リスク お客様が所有する海外事業会社の株式、配当の支払請求権、不動産等の権利を外国政府等により奪われるリスク
・権利侵害リスク 外国政府等による権利侵害によって事業不能等(*)が生じたことにより損失を被るリスク
(*)事業不能等とは、以下のいずれかの場合をいう。
①事業の継続不能②破産手続き開始の決定③銀行による取引停止④1か月以上の事業の休止
・戦争・テロ、不可抗力リスク
国外で発生した戦争・テロ、内乱、暴動や、天災、国連制裁、ゼネラルストライキ、原子力事故等によって事業不能等が生じたことにより損失を被るリスク
送金の阻害配当金や株式譲渡代金等を、外国における為替制限・禁止、戦争等による為替取引の途絶、外国政府等による管理、送金許可の取消等によって、2か月以上の期間本邦に送金できないことにより損失を被るリスク
②補償の対象
・株式等 株式または純資産に対する持分
・配当金請求権 株式等に対する配当金の請求権
・不動産等の権利 不動産、設備に関する権利、鉱業権などの権利
(2)特徴
本年7月12日に公布・施行された貿易保険法施行令の改正により、NEXIが国内民間保険会社から海外投資保険の再保険を引き受けることが可能となったことを受け、同社としては業界で初めて海外投資保険にかかる再保険協定をNEXIと締結致した。
海外投資保険が対象とするカントリーリスクは予測が難しいリスクであるが、同リスクについて高いノウハウと数多くの保険引受実績、保険金支払後の高い回収力を有するNEXIとの再保険を通じた連携スキームを活用することにより、国内企業による数多くの国々への投資に対し、幅広い補償を加入しやすい保険料で提供することが可能となった。
この海外投資保険を同社の販売網を活用して全国で販売することで、国内企業の海外展開の支援及び国内の地域経済の活性化に取り組む。
また、この取組みはSDGsのゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」に該当するものと考えており、これからも様々なステークホルダーと連携し、持続可能な世界の実現に取り組んでいく。