日立キャピタル損保など3社、脳科学の知見活用した「健康経営支援ソリューション」を提供

 日立ハイテクノロジーズ、日立コンサルティング、日立キャピタル損保の3社は11月1日から、企業における健康経営の実現に向け、脳科学の知見を活用して活力のある職場環境づくりとリスクマネジメントを支援する「健康経営支援ソリューション」の提供を開始する。
 このソリューションは、簡単に装着できる携帯型脳活動計測装置を活用して従業員の気分計測プログラムを行うことで活力を客観的に可視化し、職場環境に潜在する問題やリスクを明らかにしながら業務改善の分析を支援し、あわせて休職者の収入減に対する経済的な支援となる団体長期障害所得補償保険を提案するもの。
 日本における精神疾患患者数は300万人を超え(厚生労働省:精神疾患のデータ)、昨年12月に厚生労働省が企業などの職場におけるストレスチェックを義務化するなど、仕事上で様々なストレスを受ける従業員のメンタルケアや職場環境の改善の重要性が高まりつつある。こうした中、事前に心身の不調に気づき、経営的な視点から従業員の健康管理を戦略的に実践する、健康経営に向けた施策が企業に求められている。また、2014年には経済産業省が「企業の『健康投資』ガイドブック」を策定し、企業が従業員の健康維保持・増進を行うことは単なるコストではなく、将来に向けた投資と捉えることも可能であるとしている。さらに、1人の社員が単純に半年間休業した場合に企業が補うコストは約422万円に上るという調査結果(男女共同参画会議:企業が仕事と生活の調和に取り組むメリットを基に試算)もあり、副次的な影響なども踏まえると経営的視点からも放置できない状況である。職場の実態把握と改善は必要であると理解しているものの、取り組みに悩みを抱える企業も少なくない。
 一方、近年、ヒューマンセンシングのソリューションは、急速に携帯化(ウエアラブル化)が進んでいるが、脳科学分野においても同様に携帯化が進み、日常環境での計測も可能な技術へと変革しはじめている。脳科学の研究知見は、ブレインフィットネスなどの場面でも生かされるようになってきたが、オフィスで働く人のためのワークスタイル改善にも、生かせるものと期待されている。このソリューションは、日立ハイテクの持つ光トポグラフィを活用した脳科学の知見およびサービスと、日立コンサルティングのワークスタイル改革コンサルティングの実績に基づいた方法論やスキルを生かした「ヒューマンセンシング活用コンサルティング」、休職者の経済的な支援を目的とした日立キャピタル損保の団体長期障害所得補償保険で構成されており、3社が持つ豊富な知見、高度な技術やサービスを統合して提供する。
 このソリューションでは、基本サービスとして顧客のKPI(主要業績評価指標)に応じた現状分析を実施し、職場の活力、業績・業務KPIやストレスチェックなどのアンケート結果との相関分析をアウトプットとして提示。また、企業の人事制度に対する支援として、団体長期障害所得補償保険を提案する。さらに、要望に応じて業務最適化やオフィス環境などの施策立案や実行支援、モニタリングをオプションとして提供し、職場の活性化を促進するだけでなく、イノベーションの創出に資する業務環境整備など、継続的な支援を実施する。
◆健康経営支援ソリューションの効果とメリット
▽職場の活力可視化による最適な労働環境の実現
 従来、従業員の活力を知るためには質問紙やインタビューによる主観的評価手法が多く取られてきたが、より客観的な評価手法も取り入れていくことが重要であると考えられている。日立では、簡単に装着ができる携帯型脳活動計測装置と、脳科学の知見を基に制作された専用プログラム(約5~6分)を使い、スマートフォン上で計測を行う。スマートフォンで取得したデータを解析することで得られた気分計測の評価結果により、従業員の活力を可視化することで、企業の活力向上や業績向上につながる職場環境の実現に向けた施策の検討を、感覚値ではなく客観的なデータと分析に基づいて実施することが期待できる。
▽労働災害におけるリスクマネジメント
 従業員の気分計測における評価結果などにより長期休業などの潜在リスクを把握し、長期休職者の低減を目指すとともに、対応にかかる組織の負荷やコスト軽減などが期待できる。
▽社員満足度と企業ブランドの向上
 健康経営の実践と快適な職場環境の構築で従業員の満足度を向上するとともに、企業ブランドの向上を目指す。これにより、人材確保が困難な現状で、社員の流出を防ぐとともに、優秀な社員の採用も期待できる。

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