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MS&ADホールディングス、子会社による金融庁への業務改善計画に係る報告書を提出

MS&ADホールディングスの子会社である三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保(総称して以下「両社」)は、2023年12月26日付および2025年3月24日付で金融庁より受けた行政処分(業務改善命令)に基づき策定した業務改善計画について、12月15日、2027年4月を目処とする両社の合併を見据えて取組内容を融合させた新たな業務改善計画、および当該計画に基づく2025年11月末時点における進捗および改善状況報告書(以下「報告書」)を同庁に提出した。
同社は、グループ各社に対する経営管理態勢を強化し、両社による業務改善計画の着実な履行を監督・指導していく。また、同社ならびに両社はかかる事態に至ったことを厳粛に受け止め、全力を挙げて改善・再発防止に取り組み、信頼回復に努めていく。
〈三井住友海上〉
同社は、2024年2月29日付で金融庁へ報告した保険料調整行為に係る業務改善計画書※1について抜本的な見直しを行い、2025年5月30日付で提出した個人情報漏えいに係る業務改善計画書※2に統合した上で、具体的な改善策を実行してきた。
さらに、2027年4月を目処とするあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下「あいおいニッセイ同和損保」)との合併を見据えて、12月15日付で両社の効果的な取組や施策等を融合させた新たな業務改善計画(以下、「新計画」)を提出した。今回の進捗報告以降、新計画に基づく進捗状況等を報告する。
同社は、一連の業務改善命令を厳粛かつ真摯に受け止め、全役職員が一丸となって着実に新計画の取組を継続し、お客さま本位の業務運営を徹底していく。
■業務改善計画の遂行にあたって
(1)はじめに
同社は、2024年2月29日付の業務改善計画に基づき、同計画の確実な遂行・ビジネスモデルの再構築に向けて、「経営理念」「経営ビジョン」「行動指針」(ミッション、ビジョン、バリュー、以下「グループMVV」)に立ち返るとともに、中期経営計画(2022-2025)で定める目指す姿「未来にわたって、世界のリスク・課題の解決でリーダーシップを発揮するイノベーション企業」の実現に向けた取組を進めてきた。
しかしながら、その取組の途上において、保険代理店と保険会社の間で個人データの漏えい又は本人同意のない第三者提供が行われた事案の発生を多数認識するに至った。
これに伴い、2025年5月30日付で提出した業務改善計画において、保険料調整行為や情報漏えい等、一連の不適切な事案の真因分析を行い、再発防止策の抜本的な見直しを実施した。
さらに、2027年4月に統合を予定する同社とあいおいニッセイ同和損保は、新計画の整合・高度化に向けて両社の施策を徹底的に見直し、お客さま本位の業務運営の基盤となる健全な競争環境や企業文化、強固なガバナンスの構築等を進めている。
より高度なガバナンス体制を実現する新計画を強力に遂行していくとともに、「ビジネスモデルの変革」の実行を通じて、従来の業界慣習に内在する課題・リスクの抜本的な解消を実現し、真に健全で「お客さまから最も選ばれる保険・金融グループ」を目指していく。
(2)あいおいニッセイ同和損保との合併を踏まえた業務改善計画の整合・高度化
同社はあいおいニッセイ同和損保との合併に向け、合併準備委員会傘下の構造変革・企業革新小委員会を軸に、両社の効果的な取組や施策等を互いに採り入れるとともに、ガバナンス・規定等の領域はより厳格な個社の基準に揃える等、徹底した見直し・高度化を実施※1した。
※1 両社のシステム・組織・制度等の差異を理由に、合併後新会社で2027年4月以降に実施する一部の施策は除く。
事業会社におけるガバナンスを一層高め、あいおいニッセイ同和損保と共に整合化した新計画を着実に遂行していく。
また、同社は、持株会社と同様、取締役会の監督機能強化を目的に「監査等委員会設置会社」に移行(2026年6月予定)する等、新たな対策も順次講じていく。
(3)外部専門家によるレビュー実施
同社は、3ラインモデルを軸とする社内のPDCAサイクルを徹底するとともに、外部専門家として合同会社デロイトトーマツ(以下「デロイト社」)に新計画の進捗状況等に係るレビューを委託している。特に「経営管理・ガバナンス」「ビジネスモデル」「3ラインモデル」「企業風土」の観点を中心に、これまで取り組んだ施策の効果検証と改善に向けた見直しのサイクルを進めている。
今回実施したデロイト社による社内資料の査閲や損害サポート部門・営業部門を含む関係者ヒアリング等において、各施策の取組は計画どおり実施され、概ね期待された効果を得られているとの評価を得ている。
今後の新計画の施策の更なる高度化に向け、本レビューでの指摘事項、改善提案も踏まえた対策を適切に講じ、PDCAサイクルを強化していく。
(4)ビジネスモデルの変革に向けた取組の方向性
同社は、あいおいニッセイ同和損保との合併後新会社を見据えて、同社事業、ひいては業界の健全な発展に資するビジネスモデルの変革を推進・リードしていく。
その実現に向け「保険本業であるリスク対応力の飛躍的向上」と「社会・お客さまに対するリスク低減力の発揮」を軸とした取組を、第一線・本社が一体となって進めていく。
<真因と主な取組の状況>
①顧客本位の業務運営の態勢の整備と実践
②経営陣の姿勢と企業文化
③第二線・第三線の機能発揮
④取締役会・監査役のガバナンス
⑤持株会社によるガバナンス
〈あいおいニッセイ同和損保〉
同社は、2024年2月29日付で金融庁へ報告した保険料調整行為に係る業務改善計画書※1について抜本的な見直しを行い、2025年5月30日付で提出した個人情報漏えいに係る業務改善計画書※2に統合した上で、具体的な改善策を実行してきた。
さらに、2027年4月を目処とする三井住友海上との合併を見据えて、12月15日付で両社の効果的な取り組みや施策等を融合させた新たな業務改善計画(以下、「新業務改善計画」)を提出した。今回の進捗報告以降、新業務改善計画に基づく進捗状況等を報告する。
業務改善計画の遂行にあたって
(1)はじめに
同社は、お客さまからの信頼回復に向けて、社内の企業革新推進委員会※3を「変革のエンジン」として、これまでの商慣習や企業風土等の見直しを大胆に行い、「お客さまに選ばれつづける会社」を目指し、全役職員が一丸となって業務改善計画を着実に遂行し、お客さま本位の業務運営を徹底している。
また、2027年4月を目処とする三井住友海上社との合併を見据えて、両社の効果的な取り組みや施策等を融合させた新業務改善計画を策定し、お客さま本位の業務運営の基盤となる健全な競争環境や企業文化、強固なガバナンスの構築等への取り組みを更に強化している。
※3 社長直轄の組織として新設した業務改善取組を所管する委員会で、担当役員等からの報告や関係各部の業務改善状況を確認し、論議内容については、取締役会および経営会議に報告している。
(2)三井住友海上社との合併を踏まえた業務改善計画の整合・高度化
同社および三井住友海上社の効果的な取り組みや施策等を互いに採り入れるとともに、ガバナンス・規定等の領域はより充実した施策に融合する等、合併準備委員会傘下の構造変革・企業革新小委員会において、より高度な改善計画に整合化する協議を進めてきた。
外部専門家である合同会社デロイトトーマツ(以下、「デロイト社」)からの助言を受けて、2025年12月に両改善計画の整合および高度化を図った新業務改善計画を策定し、今回の進捗報告以降、新業務改善計画に基づき進捗状況等をご報告していく。
また、持株会社は、取締役会の監督機能強化を目的に「監査等委員会設置会社」に移行しているが、同社においても、同様の対応を検討している。
(3)外部専門家によるレビューの実施
デロイト社による外部レビューでは、「営業部門方針・代理店手数料体系の見直し」、「本業支援・出向の見直し」、「代理店体制整備の強化」、「人事評価制度の見直し」、「ポジティブ・コンプライアンスの推進」、「3線管理態勢の強化」等の施策を対象に、本社部門の取組状況に加えて現場社員への浸透・意識(企業風土)の変化を、インタビュー等を通じて確認している。
同社の業務改善計画の遂行と進捗状況については、2025年11月末時点では、概ね計画どおりに進捗している旨の外部レビュー結果を得ている。
同社は、デロイト社の指摘事項等を踏まえ、今後も業務改善取組の不断の見直しを行っていく。
(4)ビジネスモデルの変革に向けた取組の方向性
同社は、三井住友海上社との合併後新会社を見据えて、同社事業、ひいては業界の健全な発展に資するビジネスモデルの変革を推進していく。変革を通じて、保険本来の機能・価値で競争する環境を実現するために、「新たなビジネスモデルへの変革・構築」を進め、従来の業界慣習に内在する課題・リスクを抜本的に解消し、お客さま本位の業務運営を実現できる販売モデルを構築していく。

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